アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| YUI 5th Tour 2011-2012 Cruising ~HOW CRAZY YOUR LOVE~ | 2012.01.19(THU) at 東京・日本武道館 |
“あなたの愛ってどれくらい?”、こんな衝撃的なキャッチコピーで飾られたYUIの最新アルバム『HOW CRAZY YOUR LOVE』を携えて、彼女はツアーという長い航海に出た。そして3度目となる日本武道館に帰ってきた。2DaysのファイナルでYUIが魅せたものとは?
横浜の氷川丸でジャケット写真を撮った時から、ツアーテーマを“クルージング”に決めていたというYUI。ライヴは開演定時きっかりに、意外な形で幕を開けた。なんと、真っ白な制服に着たキャプテンルー(ルー大柴氏)がステージに現れ、「ご乗船ありがとうございます。本日のスペシャルゲスト、YUIさんです!」と紹介。マリンルックに身を包んだYUIを見つけると、観客は入場時に配られた紅白旗を振り、歓待した。「楽しいクルージングにしましょう!」と叫び、さあ、出航だ! 弾むようなドラムが鳴り、大ヒット曲「HELLO」で未知なる海への航海が始まった。
アコギをかき鳴らし、ピュアな歌声を響かせて頭3曲を歌い終えると、「初っぱなからイヤモニを忘れて焦りました~」と告白。会場の笑いを誘う。メンバー紹介では、ツアー初参加のSAKURAをはじめ、まるで家族のように和気あいあいとしており、そこからも、いつも以上に長い旅をしてきたんだなと感じた。最新アルバムの曲を中心に初期の代表曲「Good-bye days」など、心励ますメッセージを数多く歌ったYUI。陽気なステージの演出も含め、“ライヴ中だけは心から笑顔になってほしい”という想いが伝わってきた。
中盤のアコースティックパートでがらりとムードが変わった。温かみのあるパーカッションや鍵盤ハーモニカなど、どこか懐かしい音色に心和む「Winter Hot Music」。ボサノヴァ調に大人っぽく生まれ変わった「CHE.R.RY」では、24歳の女性らしいリラックスした歌声で恋心を柔らかく歌い上げてみせた。
前半だけでもかなり盛りだくさんだったが、後半では航海上で無線交信が繋がったという設定でお笑いコンビ、はんにゃとのトークを披露する場面も。ツアー中のちょっと笑えるエピソードを次々と暴露され、「やっぱりお笑いの方は突っ込みが鋭いですね!」とタジタジの様子(笑)。このMC以降は、「Lock On」「Rolling Star」など、新旧ロックチューンで終盤まで駆け抜けた。
パワフルにエレキギターを轟かせながら、ますます熱を帯びるヴォーカルに煽られるように、オーディエンスも体を揺らし応戦。本編最終盤では、様々な感情をありのまま綴った「Green a.live」や<あなたの歌を忘れない>と歌う「Your Heaven」などを情感たっぷりに歌い、余韻を残したまま幕を閉じた。と、そこへ再びキャプテンルーが登場。「無事、港に戻りました」とアナウンス。温かな拍手と、「ありがとう」の声がこだました。
もちろん、ここで終わるわけがない。アンコールでは、恋のときめきを3拍子で表現した「Cooking」を愛らしく歌い、「Happy Birthday to you you」では力強いバンドサウンドに乗せ<特別な日に会えてよかった>と喜びを分かち合う。オールラストとなる恒例のYUI一人による弾き語りでは、観客一人ひとりに対峙するように心を込めて「It’s happy line」を歌いきった。
と、その時に正真正銘のサプライズが起きた。「もう1曲歌ってもいいですか?」とYUIが申し出たのだ。ギターのチューニングを合わせる姿がストリートライヴ時代を彷彿とさせたが、彼女もそんな気持ちになったのだろうか。選んだのは住み慣れた街を離れ、歌い続けると誓った「TOKYO」。自らが綴った思い入れの強い歌詞を口ずさむうちに、瞳からは涙があふれて止まらなくなっていた。何度も言葉を飲み込み、歌を中断するたびに、客席からは「頑張って!」と声がかかる。そんな温かな交流のなか、YUIは最後まで歌いきった。涙で頬は濡れていたが、全てを歌い終えた彼女の顔はとても晴れやかだった。決して大げさに感情表現をしない彼女の本気の涙に、誰もがアツい想いを受け取ったに違いない。
(取材・文/橘川有子)