長編小説(なのか?)。エッセイのようにも、私小説のようにも読める。
文体が尋常ではない。ときどき句読点の位置が奇妙。ところが、声に出して読んでみると違和感がない。確かにぼくたちは、日ごろこのように考え、話している。とはいえ、意識の流れを自動的に筆記しているのでもない。やはりこれは小説だ。
さまざまなエピソードが出てくる。中心となるのは語り手が十代、二十代だったころ、鎌倉での思い出。ひとつの記憶から別の記憶がよみがえり、さらにまた別の記憶へとつながっていく。
読むうちに読者も刺激され、記憶がよみがえってくるだろう。
【書き手】
永江 朗
フリーライター。1958(昭和33)年、北海道生れ。法政大学文学部哲学科卒業。西武百貨店系洋書店勤務の後、『宝島』『別冊宝島』の編集に携わる。1993(平成5)年頃よりライター業に専念。「哲学からアダルトビデオまで」を標榜し、コラム、書評、インタビューなど幅広い分野で活躍中。
【初出メディア】
毎日新聞 2026年6月6日
【書誌情報】
鉄の胡蝶は著者:保坂 和志
出版社:講談社
装丁:単行本(368ページ)
発売日:2026-04-13
ISBN-10:4065420016
ISBN-13:978-4065420010