定年後の再就職を考えても「履歴書に書ける資格や誇れる専門性がない」と不安を感じる50代は少なくありません。

しかし、今の職場で当たり前に使っているスキルほど、自分では価値に気づかず過小評価しがちなだけというケースも多くあります。
「戦う土俵」を変えたり人脈を生かしたりすれば、転職市場で貴重な人材として評価される可能性があるのです。

では、自分では見落としがちな経験をどう転職につなげればよいのでしょうか。1万人のビジネスパーソンを取材してきた大塚さんの著書『定年5年前からの「やってはいけない」』(PHP研究所)から一部抜粋し、50代が自分を安売りせず、経験と「ツテ」を生かす方法を紹介します。

■あなたの「当たり前」は環境次第で「強み」になる
今の職場では「強み」と思えないスキルが、別の会社で重宝されるケースがどれだけ多いことか、私は何例も見てきました。

自己評価ではたいしたことがないと感じているスキルも、戦う土俵が変われば、貴重な武器になるのです。

たとえば、3次元CADや3Dプリンター。これらを普通に使えるだけで、年齢に関係なく、転職市場では評価されます。それを「強み」と思えるかどうかが大事です。

元の職場で当たり前に使っていて、日常のルーティンに組み込まれていると、本人にしてみれば「格別、得意とは言えない……」と思っているケースが多々あります。ワードやエクセルが使えるのと同レベルだと勘違いしているだけなのです。

これが、自身を過小評価してしまう人の思考パターンです。

■「土俵」を変えれば貴重な人材になる
また、いわゆる「グローバル人材」の転職でも同様のことが起こります。


海外営業系のシニア転職は、首都圏では苦戦するので自信を失いがちですが、地方企業に「土俵を変える」ことができれば、まだまだ需要があります。

海外工場の立ち上げ経験がある技術系・管理系なら、さらに引く手あまたです。

本人が気づいていなくても、貴重なレア人材であることは間違いないので、自社内の評価やフワッとした認識で自分を過小評価しないようにしましょう。

■“適当な仕事”でいい人ほど使うべき「ツテの力」
たとえば、介護施設でデスクワークの管理業務をしたがる人は、自分自身を過大評価しているタイプです。もちろん、このタイプはシニア転職市場で苦戦します。

しかし、自分を過小評価する人も、安く買い叩かれてしまう可能性があるので注意してください。

買い叩かれないために、シニア転職というゲームのルールをしっかり押さえておきましょう。

転職ルートの強さは、「天下り>ツテ>ヘッドハンター>転職エージェント>ハローワーク」の順になります。

天下りは最強のルートです。ただ、官公庁や自治体、銀行、大手企業など一部に限定されるので、ここではあまり参考になりません。

次に強いルートが「ツテ」です。平たく言えば、知人や友人、取引先からの紹介で転職する方法です。
これは誰にでも可能性があるので、もっともおすすめです。

通常、シニア転職は、大手・中堅企業から中小企業やベンチャー企業へという流れが多いのですが、「ツテ」だけは大手から大手、場合によっては中堅から大手への転職も可能にするドリームルートなのです。

■「ツテ」につながる過去の「人間関係検索」
ある企業の海外事業部で管理職だったNさんは会社に愛想を尽かし、海外駐在だったにもかかわらず、50代で辞めてしまいました。

まわりは心配しましたが、幼稚園から大学までを擁する学校法人にスムーズに転職することができました。前職とはまったくの畑違いで、教育に携わった経験もないのに「なぜ?」と不思議に思っていたら、知人の「ツテ」でした。

その学校法人はグローバル化を進めていて、海外の教育機関と交渉中でした。Nさんは教務部長として、そのプロジェクトのマネジメントを任されました。

民間企業で、海外のタフネゴシエーターたちとの交渉に慣れ、大きな訴訟もハンドリングしていた実績が買われ、白羽の矢が立ったのです。

「これといった強みがない」と思っている人は、まずは「ツテ」につながる過去の「人間検索」を絶対にやってください。

「<ポイント>
「強みがない」のはあなたの錯覚かもしれません。土俵が変われば、重宝される可能性大。」

著者:大塚寿(作家・エマメイコーポレーション代表取締役)
1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。
現在は、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役、オンライン研修「営業サプリ」を運営する株式会社サプリCKO。1万人を超えるビジネスパーソンへのインタビューを行い、著書多数。
編集部おすすめ