老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、亡くなった夫が老齢厚生年金を繰り下げ受給していた場合、遺族厚生年金に繰り下げ加算や経過的加算が反映されるのか知りたい方からの質問です。

■Q:亡くなった夫の老齢厚生年金は繰り下げ受給していました。遺族厚生年金には繰り下げ加算や経過的加算も含まれますか?
「夫は老齢厚生年金を繰り下げ受給していました。夫が亡くなった後、私の遺族厚生年金の通知書を見たところ、繰り下げ加算や経過的加算の金額が書かれていませんでした。夫が繰り下げて増えた年金額や経過的加算は、遺族厚生年金には反映されないのでしょうか」(匿名)

■A:遺族厚生年金には、ご主人の繰り下げ加算や経過的加算は含まれません
ご主人が老齢厚生年金を繰り下げ受給していた場合でも、遺族厚生年金の計算には、繰り下げによる増額分や経過的加算は含まれません。

遺族厚生年金の計算の基礎となるのは、ご主人の老齢厚生年金の報酬比例部分です。企業年金基金などから支給される報酬比例部分がある場合は、その金額も計算対象となります。

一方、繰り下げによる増額分は、ご本人が老齢年金の受給開始を遅らせたことによって上乗せされるものです。また、経過的加算は老齢厚生年金に含まれて支給されますが、老齢基礎年金に相当する部分を調整するための加算です。そのため、いずれも遺族厚生年金の計算対象にはなりません。

このため、遺族厚生年金の年金証書や通知書にも、繰り下げ加算や経過的加算は記載されません。


なお、ご主人が老齢年金を繰り下げ中で、実際に受給を開始する前に亡くなられた場合は、遺族が「未支給年金」を請求できます。未支給年金は、繰り下げ後の増額した年金額ではなく、繰り下げをしなかった場合の本来の年金額を基に計算されます。

なお、未支給年金には5年の請求期限(時効)があるため、該当する場合は早めに手続きを行うことが大切です。

通知書に繰り下げ加算や経過的加算が記載されていなくても、それは制度上の取り扱いによるものです。内容に疑問がある場合は、お近くの年金事務所で年金額の内訳を確認すると安心でしょう。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
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