■社会インフラの更新需要はこれからも続く
私たちが普段何気なく利用している道路や橋、水道、下水道などの社会インフラ。その多くは高度経済成長期に整備され、建設から50年以上が経過する施設が増えています。


近年は道路の陥没や水道管の破損などが相次ぎ、老朽化への対応は全国共通の課題となっています。国や自治体では補修や更新を進めていますが、対象となる施設は膨大で、一度に整備を終えることはできません。

そのため、インフラ更新は数年では終わらず、今後も長期間にわたって続くテーマと考えられています。景気の影響を受ける民間設備投資とは異なり、公共投資が中心となる分野も多く、比較的安定した需要が期待できることも特徴です。

今回は、社会インフラを支える企業の中から、9月に配当権利を迎える3銘柄を紹介します。

■横河ブリッジホールディングス<5911>
横河ブリッジホールディングス<5911>は、橋梁(きょうりょう)の設計・製作・架設・保全を手掛ける国内有力企業です。新設橋梁に加え、老朽化した橋の補修、耐震補強、維持管理にも強みを持ち、日本の橋梁インフラを長年支えてきました。

高度経済成長期に整備された社会資本の老朽化が進むなか、国や自治体では計画的な点検・補修が進められており、同社グループはこうしたインフラ更新需要の取り込みが期待されます。

株主還元にも積極的で、第7次中期経営計画ではDOE(株主資本配当率)3.5%以上を目標に累進配当を継続する方針を掲げています。2027年3月期の会社予想配当は年間130円で、予想配当利回りは4%台と高水準です。橋梁という社会インフラを支える事業基盤に加え、安定した株主還元も魅力の1つといえるでしょう。

■世紀東急工業<1898>
世紀東急工業<1898>は、道路舗装工事を主力とする建設会社です。
高速道路や一般道路、空港の滑走路など幅広い舗装工事を手掛けており、舗装の維持・補修でも豊富な実績があります。

道路は毎日の交通によって少しずつ傷みが進むため、新設工事だけでなく定期的な補修工事が欠かせません。全国で道路の老朽化対策が進む中、同社が活躍する場面は今後も多いと考えられます。

配当利回りの高さも魅力の1つです。公共工事を中心とした安定した受注基盤を持ち、中長期的なインフラ更新の恩恵が期待できる企業として注目されています。

■栗本鐵工所<5602>
栗本鐵工所<5602>は、水道管や産業設備、農業用パイプなどを手掛ける老舗メーカーです。特に水道インフラ向け製品では長い実績があり、全国各地の水道網を支えてきました。

日本では水道管の老朽化が深刻な課題となっており、漏水対策や更新工事への投資が続いています。同社は鋳鉄管だけでなく樹脂管や機械設備なども展開しており、事業の幅広さも特徴です。

知名度は決して高くありませんが、社会インフラの更新という長期テーマの恩恵が期待される企業の1つです。安定した事業基盤と高配当の両方に注目しながら、中長期保有を検討したい銘柄といえるでしょう。

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文:田代 昌之(金融文筆家)
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。
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