いいとこ取りで暴れん坊なシングル
――今回のシングルはダブルタイアップですが、それぞれの作品にはどんな印象がありましたか?
『ようこそ実力至上主義の教室へ』(以下『よう実』)は、主人公がパッとしなかったので、大丈夫なのかなと思ったんですね。でも、じつは彼こそが裏ボスみたいな存在で、ひっくり返ったことを覚えています。犯人がわかっている状態でのサスペンスを見ているみたいで、かつ各種試験がとてもおもしろい作品ですね。『転生したらスライムだった件』(以下『転スラ』)は、シリーズを経てどんどん味方になるキャラクターが増えて。シズが転生者ということでの切なさもありつつ、リムルは部下を上手に使っていて、人間関係の勉強にもなるアニメだという印象です。
――ちなみに、両作品で好きなキャラクターは?
『よう実』は軽井沢ですね。私が男性だったら絶対好きになると思います。ただ、きっと振り回されて終わっちゃうんでしょうね。『転スラ』はシズが一番好きです。異世界に召喚されて、イフリートに侵食され、戦って最期を迎えてしまうという、とても悲しいキャラクターですが、リムルが彼女を捕食してくれて姿が残ったので、そこには感謝しています。
――藍井さんにとって初めてのダブルタイアップとなる「MONSTER」と「絵空事」は、どちらもコンペで曲が決まったそうですね。まず、テレビアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 4th Season 2年生編1学期』(以下『よう実』)のOPテーマ「MONSTER」の楽曲を聞いたときの感想を教えてください。
メロディが好きで、アレンジも攻撃的な感じだったんですね。今期から、綾小路の本気が見られるわくわく感が伝わるような楽曲だなと感じました。
――「MONSTER」は、周りから見た綾小路をテーマに藍井さんご自身が作詞をされたんですよね。そのきっかけはなんだったのでしょうか?
これまでのシリーズでOPを担当していたZAQちゃんが、綾小路目線で歌詞を書いていたので、違うパターンを試してみたいという思いもあり、周りからであり、私から見た綾小路を描きました。最初の印象からしても「化け物」だったので、タイトルもスムーズに決まりましたね。これまで担当してきたタイアップ楽曲は、登場人物の視点で描くことが多かったので、今回、私からの目線を入れたのは新しい挑戦でした。
――歌詞のなかでも、とくにどこにポイントを置いて作詞をしたのでしょうか?
最初にメロディを聞いたとき、とくにBメロに歌詞を付けるのが難しいなと思って、頭を悩ませたんですね。全部日本語詞じゃないなと思い、何かフィットする歌詞を探したときに、「Hiding」というフレーズに行き当たりました。綾小路はその能力がみんなにバレないように隠しているから、このフレーズともマッチしているなと思いましたし、結果的に、このフレーズ自体が曲のフックにもなったなと感じています。
――歌い出しと締めが同じフレーズになっているところもこだわりのポイントですか?
そうですね。なんのモンスターがいいかを考えて、いくつか候補を出したなかで、隠れているようではみ出していることから「はみ出し」を入れました。歌的にも「は」から始まると歌いやすいというのもありました。
――楽曲全体をとおして、どこか綾小路の得体の知れなさが伝わってきますね。
綾小路って、人を人とも思っていないような恐ろしさがありますよね。でも、どこかにやさしさがあったらいいなと思っていて。彼と関わっている軽井沢を見ているとかわいそうに思えてくるのですが、あまりにも綾小路が淡々としているのでわたしがおかしいのかな、みたいに思えてくるんですね。個人的に、軽井沢に対する綾小路の態度はホラーだと思っています(笑)。
――歌うときには、どんなことを意識にしましたか?
サウンドが激しいので、それに負けないようなボーカルにしたいと思っていました。ただ、私がロック歌唱でポリープができてしまったり、発声障害にもなったりしたので、どうしてもリミッターがかかって、うまく歌えなかったんです。でも、狡猾さを最高に引き上げた状態にしたくて、何度もテイクを重ねていきました。ただ、ブレスが少ないんですよ(笑)。なので、どこで息を吸うかも相談しつつ、狡猾な表現ができるように向き合いました。
――テレビアニメ『転生したらスライムだった件 第4期』のOPテーマである「絵空事」の楽曲を選んだポイントを教えてください。
2曲まで候補を絞って、スタッフの方々に決めていただきました。
――歌詞でとくに刺さった部分はありますか?
「正義とエゴ」についての歌詞は、すごく刺さりました。正義を振りかざす人ってインターネット上にもたくさんいると思うのですが、それを正義と呼べるのかと考えたことがあったんですね。いまはとくに何も感じないのですが、人それぞれの考え方を押しつけてはいけないと思っていて、そういった難しいことをテーマにされているという印象でした。
――「絵空事」を歌う際には、どういったところを大切にしましたか?
Aメロは閉ざした空間で歌い、サビで開けた感じになるので、開放感を感じてもらいたいと思いながら歌いました。曲調はロックなので、がなりたいところはがなりつつ、「仲間たちと仲がよく、広大で爽やかで、ちょっとキラキラしている」という作品のテイストにも寄り添うように歌っていきました。「絵空事」はいままでの藍井エイルと似た、高いところは高くという楽曲なので、自分としてもとても歌いやすかったです。
――カップリングの「DRUM」と「Decay」は、どのように制作していきましたか?
「DRUM」はロックテイストで、かつ令和的な楽曲を選びたいと思ったんですね。この楽曲は、サビが低い音階になっていて、しかもそのまま終わるんです。自分としてはここまで低く歌うことがなかったので、新しい藍井エイルを出せたナンバーになったと思います。いわゆるアニソンっぽさはない曲なので、皆さんがどう聞いてくださるのかが楽しみです。
――できあがったシングルはどんな1枚だと感じていますか?
暴れん坊の1枚ですね。ダブルタイアップであり、さらにテイストの違うカップリングが2曲入る。暴れん坊であり、かつ、いいとこどりの1枚だと思います。そして、新しい私と、いままでの私、両方を感じてもらえる1枚にもなっていると思います。
――久々のリリースになりますが、今後はどんな活動をしていきたいですか?
ロックは変わりなく、なおかつ、そこにファッションのようなものを取り入れて、ショーのようなライブを作っていきたいと思っています。
――では、最後にリリースを楽しみにしている読者に向けて、メッセージをお願いします。
人生初のダブルタイアップを担当させていただきました。
Profile
あおい・えいる/2011年10月にテレビアニメ『Fate/Zero』のEDテーマ「MEMORIA」でメジャーデビュー。以後、多くのアニメ主題歌を担当し、国内や海外でもライブ活動を精力的に続けるシンガーソングライター。
Information
8月16日には東京・Zepp Haneda(TOKYO)にて『エイルの日~藍いスポーツ大会~』の開催が決定。チケットなどの詳細は公式webサイト【https://aoieir.jp/】をチェック。
「MONSTER/絵空事」
テレビアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 4th Season 2年生編1学期』のOPテーマ「MONSTER」と、テレビアニメ『転生したらスライムだった件 第4期』OPテーマ「絵空事」を収録したシングル。アーティスト盤には、カップリング曲として「DRUM」と「Decay」の2曲を、よう実盤は「Decay」、転スラ盤は「DRUM」をそれぞれ収録する。
発売中
Lantis
アーティスト盤2750円(税込)
よう実盤、転スラ盤各1980円(税込)
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