ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所は6月30日、「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」の結果を発表した。調査は各年7~9月、全国の小学1年生~高校3年生の子どもとその保護者(小1~3生は保護者のみ回答)を対象に実施。
2015年と2021年は郵送調査とインターネット調査の併用、2016~20年は郵送調査、2022~25年はインターネットで行われた。
○この11年で1日あたりの学校外の学習時間は約2割減少

1日あたりの学校外の学習時間(宿題+宿題以外の家庭学習+学習塾)は、この11年で高校生が22分、中学生が19分、小4~6生は17分、小1~3生は9分減少した。どの学校段階も約2割減少した。

内訳をみると、どの学校段階でも「宿題」時間の減少が大きく、次いで宿題以外の「家庭学習」が減った。

○「何のために勉強しているのかわからない」が増加

「勉強が好き」と回答する割合が、とくに小学生で減少していることがわかった。

「何のために勉強しているのかわからない」と回答する割合は、いずれの学校段階でも増加している。

「勉強のやり方を工夫する」といった学習の自己調整ができる子どもが、小中学生で減少している。

○成績上位層は下位層に比べて宿題以外の家庭学習時間が長い

成績上位層は下位層に比べて学校外の学習時間が長く、宿題以外の家庭学習時間の差が大きい。

この11年で成績中・下位層の宿題以外の学習時間が減少し、成績上位層との差が拡大している。

○社会経済的地位(SES)により宿題以外の家庭学習時間に大きな差

社会経済的地位(SES)別に学校外の学習時間の違いをみると、宿題以外の家庭学習の時間に大きな差がみられる。

この11年で、SESが低いL層の家庭学習時間が減少し、SESが高いH層との差が拡大している。

○宿題以外の家庭学習をしない子どもが10ポイント前後増加

宿題以外の学習をしない家庭学習0分層は、この11年で10ポイント前後増加し4~5割となった。


宿題以外の学習をしない家庭学習0分層は、成績下位層ほど、また、SESが低い層ほど多く出現している。さらに、勉強の好き嫌いや学ぶ目的が明確かどうか、学習の自己調整をするかどうかと関連している。

○学びに対する興味・関心や目的意識の弱まり

今回の分析では、子どもの学びへの向き合い方に、いくつかの重要な変化がみられた。まず、子どもの学校外の学習時間は、この11年で約2割減少していた。学校段階を問わず、とくに「宿題」と、宿題以外の「家庭学習」の時間の減少幅が大きい点がポイントだ。学校外の学習時間の減少と合わせて、この11年で、学ぶことへの意欲を表す「勉強が好き」という子どもが減少し、「何のために勉強しているのかわからない」といった学ぶ目的が見出せない悩みがある子どもが増加していることから、学習に対する肯定的な意識や意味づけが弱まっている可能性が示唆される。また、「自分に合った勉強のやり方を工夫する」といった学習の自己調整ができる子どもは、小中学生で9年前に比べて減少がみられる。近年、子どもが自ら学ぶことを通して、自分なりに工夫したり試行錯誤したりする機会が減っているようだ。

これらの結果を踏まえると、子どもの学校外の学習時間の減少の背景には、この11年で子どもの学びに対する興味・関心や目的意識の弱まりや、自分なりの工夫や試行錯誤をしながら学ぶ機会の減少などの、学びへの向き合い方の変化があると考えられる。
○4~5割を占める「家庭学習0分層」の課題

この11年で、宿題以外の家庭学習をしない子ども(家庭学習0分層)が、どの学校段階でも10ポイント前後増加し、4~5割を占めるようになった。家庭学習0分層は一部の子どもに限られた存在ではなく、学校外の学びのあり方を考える上で無視できない層となっている。

家庭学習0分層は、成績が低い子どもほど、また、家庭の社会経済的地位(SES)が低い層ほど多く出現している。
成績やSES別に学校外の学習時間をみると、とくに宿題以外の家庭学習時間に大きく表れており、経年ではその差が拡大している傾向がみられる。一方で、経年で減少している宿題時間には、成績やSESごとの大きな差はみられない。

家庭学習0分層の子どもには、学ぶ意欲や目的意識が低い傾向がみられ、学習の自己調整を行っていない割合も高くなっている。与えられることが多い宿題とは異なり、家庭学習は、子ども自身が何をどのように学ぶかを選びながら取り組む時間である。宿題以外の家庭学習をまったく行わない子どもが増えていることは、子どもたちが自ら学ぶ経験を通して、意欲や目的意識、学びを調整する力を育む機会が十分に得られていない可能性を示している。
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