湿り気を帯びた風が肌を撫で、魂の輪郭をぼやけさせる夏。古来、日本ではこの過酷な季節を乗り越えるため、あるスタミナ食に己の命を託してきた。
うなぎである。

例年、コンビニエンスストアでは、うなぎを巡る熾烈な競争が繰り広げられている。が、ファミリーマートのそれは、もはやコンビニ弁当の枠から大きく逸脱している。ウマすぎるのだ。

今回は現在予約受付中の「上 鹿児島県産 うなぎ蒲焼重(3/4尾)」をひと足早く実食。重箱という名の小宇宙に閉じ込められた至高の逸品の詳細を以下、どうぞ。
○2,680円!ファミマ「鹿児島県産うなぎ蒲焼重」を食べてみた

この威厳、この照り。蓋を外す前から早くも心は察していた。「おそらくはこのあと、仕事を忘れ、普通にむさぼり食ってしまうであろう」と。

「上 鹿児島県産うなぎ蒲焼重」、お値段2,680円。コンビニではなかなかない価格設定だが、その内容を知れば納得する。使用しているのは鹿児島県産うなぎ。
養殖生産量日本一を誇るその地で、清らかな地下水に育まれた精鋭たち。それが3/4尾、堂々たる佇まいで鎮座しているのだ。

1尾丸ごと使った「特上」(3,980円)も存在するが、この「3/4」という絶妙な余白にこそ侘び寂びを感じるのは気のせいではないだろう。……いや、痩せ我慢じゃないよ?

蓋を外すのにも背筋が伸びる思いがが、まずはレンチンしなければ何も始まらない。レンジでいい感じに加熱し、いざ震える手で蓋を開けてみると……

なんという美しさだ……。神々しさすら感じるではないか。炭火やタレの焦げた香りが鼻腔をくすぐってくる。たまらん……。

さっそく食べてみようと箸を差し入れた瞬間、指先に伝わる感触に驚愕。やっ、柔らかい……。一方で、カリッと感も箸から伝わってくるではないか。焼き方にもかなりこだわっているのだろう。


ますます期待が高まったところで、まずは別添えのタレも山椒もつけず、そのままひと口、いただきます。

―――――――――うっ、ウマいッッッ……!!!! なんだ、これ……えっ、めっちゃウマい……!!!! 皮焼き、身焼き、共に強火でじっくりと焼き上げられているようで、余計な脂は削ぎ落とされており、うなぎの純粋な旨みが強く、シンプルに感じられる。

炭火の工程を経たその身は驚くほどふっくらとしており、口に運べば香ばしさが頭蓋を突き抜け、全身をくまなく駆け巡っていく。あっ、あっ、脚が震える……。

骨を炭化させるほど焼き込まれた身は、もはや抵抗を諦め、舌上で旨味という名の霧へと昇華。4度のタレつけ焼きが生む層の厚い味わい。そこに、鹿児島の大地が育んだ生命の力強さが宿っている……!

続いて、付属の特製ダレと山椒を投入。改めて頬張ってみると……

うおおおぉぉぉ、うめぇぇぇッ!!!!!! うめぇぇぇええええーーーッッッ!!!!

……はっ、失礼。……大変美味だ。このタレがまた心憎いまでの完成度で、うなぎの骨を煮出し、たまり醤油と加工黒糖を隠し味に加えたという。この漆黒の雫が魚沼産コシヒカリの白銀の粒に染み渡っていく様は、まるで一幅の絵画のようだ。

米は令和7年産米の食味ランキングで「特A」評価を得た一級品。
一粒一粒が立っており、もっちりとした粘りと上品な甘みを放つ。強い旨味を持つうなぎを、優しく、かつ毅然と受け止めるその包容力。うなぎ、タレ、米。この三者が口の中で合流したとき、どうやら人の脳内には大量のドーパミンが溢れ出す決まりなのだろう。さきほど取り乱してしまったのは、避けがたき生理反応だったのだ。

さらに、山椒の痺れが味の輪郭をさらに鮮明化。添えられた奈良漬のポリポリとした食感が、濃密な時間の中に心地よいリズムを刻んでくれる。至福。

そもそも国産うなぎなんて、専門店でしかなかなかお目にかかれない。ファストフード店のうなぎもとても美味しいが、やはり国産うなぎはまたちょっと別格な気がする。気づけばものの2分で完食。動く箸を止めることなどできず、旨味の坩堝に本能を委ねるほかなかったが、これも致し方なし。
ウマすぎ。ガチで。

今回のファミリーマートのラインナップは多様。「鹿児島県産うなぎ蒲焼重」シリーズのほか、同じく鹿児島県産のうなぎを使った「うなぎ蒲焼と牛焼肉重」(1,980円)や、中国産のうなぎを使用した「うなぎ蒲焼重」(1,880円)など、2,000円を切る価格帯のメニューも用意されている。

安くはないかもしれない。しかし、実際に食べてみれば、決して高いわけではないとわかる。重箱を開け、ふっくらとした身を頬張る。その瞬間に感じるだろう。自分のなかに活力が満ちていくのを。猛暑? かかってきなさい。もう怖くなんてないんだからっ!
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