マウスコンピューターが販売するパソコンは、すべて長野県飯山市にある「飯山工場」で生産されている。同社は全国にダイレクトショップを展開するほか、修理センターを埼玉県と広島県、コールセンターを沖縄県に設置しているが、製造機能は飯山工場に集約。
飯山工場は、第1工場、第2工場、第3工場の3棟で構成される。第1工場ではデスクトップPC、第2工場ではノートPCを生産し、第3工場は繁忙期の増産に対応するための設備として運用されている。なお、iiyamaブランドのディスプレイは長野県中野市の拠点で生産している。
同工場の特徴は、製造部門だけではなく、開発部門や品質管理部門も同じ拠点に配置されていることだ。製品開発から製造、品質管理までが密接に連携することで、品質向上や不具合への迅速な対応を実現している。
軣氏は開発部門について、「AIを搭載した製品や、今後普及が見込まれるAIエージェントなど、新しい技術も見据えながら開発を進めています」と説明した。
部品が届いた段階から品質管理は始まる
飯山工場では、受入検査、部材保管、ピッキング、組立、内観検査、機能検査、負荷試験、梱包、出荷、抜取検査という流れで製品が完成する。
最初の受入検査では、納入された部品が品質基準を満たしているかを確認するだけでなく、ファームウェアのバージョンまでチェック。合格した部品にはシリアル番号を付与し、「いつ納品され、どの製品に搭載され、いつ出荷されたか」をデータベースで一元管理している。
基準を満たさない部品には赤色、判定保留の部品には黄色のテープを貼り、現場の作業者が一目で判別できるよう工夫している。この色分けは現場のQCサークル活動から生まれた改善策だという。
軣氏は、「製造現場ではQCサークル活動を通じて、現場から出た改善アイデアを積極的に取り入れています」と語った。
QCサークルは開発、製造、品質管理など各部門で毎月実施。サポートセンターへ寄せられた顧客の声や修理センターで把握した故障内容なども共有し、品質改善へ反映している。
注文ごとに異なる構成を間違えない仕組み
マウスコンピューターのパソコンはBTO(Build To Order)方式を採用している。CPUやメモリ、ストレージ、保証内容まで受注ごとに異なるため、製品ごとに必要な部品を正確にそろえることが重要になる。
その役割を担うのがピッキング工程だ。注文内容を確認しながら部品倉庫から必要なパーツを集め、製品ごとにケースへ収納する。
注文内容はペーパーレス化され、タブレットで確認できるようになっている。また、一部の部品ではバーコードを読み取ると保管棚のランプが点灯するデジタルピッキングを導入し、作業効率と取り違え防止を図っている。
1人が1台を最後まで組み立てる理由
組立工程では、ライン生産ではなくセル生産方式を採用している。1人の作業者が1台のパソコンを最後まで組み立てるため、責任の所在が明確で、品質のばらつきを抑えられるという。
各作業スペースにはモニターが設置され、組立手順書を確認しながら作業を進める。
軣氏は、「お客様ごとに構成が異なるため、一人の作業者が責任を持って組み立てる方法が最も適していると考えています」と説明した。
組立後には別の担当者が内観検査を実施し、ネジの締め忘れやコネクターの差し込み不良、ケーブルの配線などを細かく確認する。組立担当者とは別の目で確認することで、人的ミスの防止につなげている。
さらに同社では、この内観検査や外観検査へのAI活用も検討している。
軣氏は、「カメラで撮影した画像をAIが判定する仕組みを導入し、傷や組み立てミスの検出を自動化したいと考えています。作業者の負荷軽減にもつながる取り組みです」と今後の展望を語った。
出荷前には全台を検査、構成ミスも自動チェック
組立工程を終えたパソコンは、機能検査と負荷試験へ進む。これらは出荷されるすべての製品に対して実施される工程であり、品質を担保する重要な役割を担っている。
機能検査では、OSやドライバのバージョンを確認するほか、USBやオーディオ端子など各種インタフェースの動作、音声の再生・録音、光学ドライブの動作などを細かくチェックする。
さらに、製品のシリアル番号を読み込むことで、その製品に搭載されるべき部品情報をデータベースから取得し、OS上で認識されている部品情報と照合。注文内容どおりの構成になっているかを自動で確認する仕組みも採用している。
軣氏は、「シリアル番号から部材リストを呼び出し、実際に搭載されている部品情報と照合することで、正しい構成になっているかを確認しています」と説明した。
機能検査後は、専用ソフトウェアを用いたエージング(負荷試験)を実施する。一般的な利用環境よりも高い負荷を数時間かけ続けることで、初期不良の発生を抑える狙いがある。
梱包材まで試験、往復輸送も想定
完成した製品は梱包工程へ進む。
同社では環境負荷の低減を目的に、従来使用していた発泡スチロール製の緩衝材から、段ボール製クッション材への切り替えを進めている。現在ではデスクトップPCの大半が段ボール製クッションで出荷されているという。
一方で、段ボールは発泡スチロールより衝撃への耐性が低い。そのため、実際の輸送環境を想定した落下試験や配送試験を繰り返し行い、製品だけでなく梱包材の損傷状況も確認している。
軣氏は、「お客様への配送だけでなく、修理時に同じ梱包材を使って返送されるケースも想定しています。そのため、一度だけではなく、往復輸送にも耐えられる品質を確認しています」と述べた。
完成した製品は基本的に当日中に出荷され、工場内に長期間保管されることはない。配送日指定の製品のみ、物流拠点で保管した上で出荷しているという。
高温40℃や2万回開閉試験で耐久性を確認
出荷前には、完成品の約10%を対象に品質管理部門が抜取検査を実施する。
製品が仕様どおりに組み立てられているかだけでなく、機能や性能も含めて改めて確認し、品質を最終チェックする工程だ。
もし作業ミスが見つかった場合には、その作業者が同日に組み立てた製品の出荷を一旦停止し、同様の不具合が発生していないかを確認する体制を整えている。
さらに、新モデルやカスタマイズモデルでは各種環境試験も実施している。
温度サイクル試験では高温・低温を繰り返し与えて部品の耐久性を確認し、振動試験や落下試験では輸送時の衝撃に耐えられるかを検証する。静電気試験やノイズ試験も行い、電子部品への影響がないことを確認している。
工場内には高温環境を再現する恒温室も設置されており、近年の猛暑を想定して約40℃の環境下で動作試験を実施しているという。
このほか、ノートPCのヒンジを約2万回開閉する耐久試験や、防音室でオンライン会議を想定したマイク性能やWebカメラの映像品質を確認する試験も行われていた。
また、過去に発生した作業ミスは写真付きで掲示し、全作業者が共有できるようにしている。現場全体で失敗事例を共有することで、再発防止につなげる狙いだ。
開発・製造・品質管理が連携する国内生産の強み
飯山工場では、開発部門、製造部門、品質管理部門が同じ拠点に集約されている。この体制により、品質上の問題が見つかった際には、製造部門だけでなく開発部門もすぐに対応できる。
軣氏は、「作業ミスなのか、設計上の問題なのかを迅速に判断しなければなりません。
BTOによる一台ごとの受注生産は、生産管理や品質管理の難易度が高い。一方で、飯山工場では受入検査から組立、全数検査、環境試験、抜取検査まで多段階の品質管理を実施するとともに、開発部門と製造部門が密接に連携することで、高品質な国内生産を支えている。
AIを活用した外観・内観検査の導入も視野に入れるなど、品質向上への取り組みは今後も進化を続けそうだ。











![[USBで録画や再生可能]Tinguポータブルテレビ テレビ小型 14.1インチ 高齢者向け 病院使用可能 大画面 大音量 簡単操作 車中泊 車載用バッグ付き 良い画質 HDMI端子搭載 録画機能 YouTube視聴可能 モバイルバッテリーに対応 AC電源・車載電源に対応 スタンド/吊り下げ/車載の3種類設置 リモコン付き 遠距離操作可能 タイムシフト機能付き 底部ボタン 軽量 (14.1インチ)](https://m.media-amazon.com/images/I/51-Yonm5vZL._SL500_.jpg)