様々なメディアで展開されてきた『HiGH&LOW』シリーズが10周年を迎える2026年。10周年プロジェクトの一環として上演されるのが『HiGH&LOW THE 戦国 外伝』だ。

本作は、2024年にEXILE HIROの企画プロデュースによって生まれた“戦国時代活劇”『HiGH&LOW THE 戦国』のアナザーストーリーを描く完全新作舞台。衝突する3つの派閥のうち、山賊の斑目一家を率いる斑目笹玖を演じるのは笹森裕貴。「さらけ出せる役というのは心地いい」と笑顔を見せる笹森に、これまでのイメージを覆す役に挑む心境を聞いた。

【写真】イメージ覆す役に挑む! 笹森裕貴、撮りおろしショット

■新たな“引き出し”開く イメージ一新の笹玖役

――キャラクタービジュアルを拝見したときに驚いたのですが、これまでのイメージとは全然違う役ですね。

笹森:そうなんですよ。でも、それがなんかうれしくて。ビジュアル解禁時もファンの方々から「どこにいるのか分からなかった」というお声もいただいて(笑)。普段から応援してくださる方が分からないくらい、新しい自分を出せるということで、「まだ自分にはこういう引き出しがある」と提示できる機会にもなるんじゃないかなと。

――改めて、斑目笹玖という人物について教えてください。

笹森:山賊の頭で金にすごく執着している役です。でも、実はそうならざるを得なかった過去があったり、好き好んで山賊をやっているかって言われたら、実はそうではなかったり。(八木将康演じる)お兄ちゃんの松竹に対しての苛立ちが大きくて、かなりキツイことも言うんですよ。
でも、お兄ちゃんが好きだという気持ちもあるし、だけど山賊として生きる以上、強くあらねばならない部分もあって。なんというか、かわいそうな人物だなという印象です。笹玖はつねにお兄ちゃんに対してイライラしているんですが、それはイコール自分に対しての苛つきなのかな。大胆に見えて、繊細な部分もあって、そういう部分にやりがいを感じています。

――つねに苛立ちを抱えている役と聞くと、お芝居のカロリーが高いように感じるのですが、演じていていかがでしょうか。

笹森:全部のセリフに意味があると思うので、そこをひとつずつ紐解いていくという意味では特別この役だから大変とは感じていないです。でも、苛立ちを表現するという点では、改めてアプローチって無限大だなと感じています。以前、ある演出家さんに“台本を間違えて読む”ということを教わったんです。その作業が、今回はキーになるなと思っています。

――“台本を間違えて読む”とは?

笹森:誰も思いつかない解釈で一度やってみる、というアプローチ方法です。例えば、親の葬式に参列するというシーンだったら、悲しくて泣くというのがひとつの表現。でも、震えて涙を流しながら笑い声を上げる、というのもひとつの表現としてあるわけじゃないですか。
今回、そういったアプローチが笹玖という役に合っているなと。何を考えているか分からない危うさも含め、見ていてヒヤヒヤするような役になったらいいなと思っています。

■“山賊”笹玖に「めちゃくちゃ共感」重なる学生時代

――笹玖に対して共感できる部分はありますか?

笹森:めちゃくちゃ共感できます! 僕も山賊だったんで(笑)。本当に反抗期の頃の自分と一緒です。兄貴がいるところも同じですね。僕は学生時代ほぼ勉強していなかったですけど(苦笑)、兄貴はちゃんとしているタイプで。「自分の将来考えろよ」みたいなことも言われていました。当時はうるさいなと思っていたけど、今思えば自分を思って言ってくれた言葉だし、そういうところも笹玖に通じるものがあるなと感じています。

――公式コメント動画で笹玖との共通点として挙げていた「口の悪さ」は、反抗期のことですか?

笹森:それは思春期の頃の乱暴な言動のことじゃなくて、シンプルに子どもの頃から口が悪いんですよ(笑)。悪意はないんですが、口が達者というか。昔のビデオを見ると本当に生意気で。母親の「裕貴くんは年長さんになって何組になったんですか?」っていう質問に、「え? バラ組だよ、バラ」みたいな、勢いというか圧のある話し方をしていて(笑)。
今でも、ふとしたときに語気強めな言い方が出てきちゃうことがあって、その口の悪さです! コメント動画だけだと僕がすごい嫌なヤツって誤解されるかもしれないので、ちゃんと言っておかないとですね(笑)。

――兄・松竹を演じる八木さんとのお芝居はいかがですか。

笹森:八木さんは普段から松竹のように優しいんですよ。対等にお芝居の話をしてくださるし、考えていることを遠慮なくぶつけられる懐の深さも持ってらっしゃって。兄弟の背景について、脚本や演出の上でも余白を残してくださっていて、好きに考えていいよと言ってくださっているので、よくお話しています。組み立てたものがハマる瞬間が気持ちよくて、稽古も楽しいです。

――伊勢大貴さんと納谷健さんはオールラウンダーとして、斑目一家も演じるとのこと。斑目一家のシーンは4人でいることが多いのでしょうか?

笹森:結構ずっと一緒ですね。納谷くんは役者仲間からお噂は聞いていたのですが、めちゃめちゃ体が動く方で、アクションを見ていても本当に楽しいです。伊勢さんは『機界戦隊ゼンカイジャー』のスピンオフ作品で共演してことがあって。もう5年近く前なんですが、撮影後に一緒にうどんを食べに行ったんですよ(笑)。その時ぶりにお会いして、がっつり共演できるのがうれしいです。
僕よりも経験のあるお2人が、斑目一家の手下を演じてくれるので、本当に心強い。戦闘時も僕が動いた瞬間に、打ち合わせもなしにパパっと動いてくれる先輩方なんですよ。僕のやりたい表現に合わせてくれるし、違うと思ったらアドバイスしてくれるので、僕はただ頭として前だけを見て進めています。

■山賊ならではの殺陣に求める終着点

――山賊としての殺陣の面白さはどんなところに感じていますか。

笹森:普通に上手い人が首を斬ったら、絵に描いたようなきれいな切り口になると思うんですが、山賊は刃もボロボロだろうし、肉がぐしゃぐしゃになるようなイメージです。でも、殺陣ってひとつの芸術なので、美しさみたいなものが絶対必要だと思っていて。荒っぽいけどきれいな殺陣っていうところが終着点なのかなって思っています。

――一派の頭として、義勇軍、海賊との関わりも見どころとなりそうです。同じく陣営を率いる役どころとなる叢雲颯斗役の小野塚勇人さん、謝羽良彩音役の彩風咲奈さんの印象を教えてください。

笹森:小野塚さんは、すごく頭の回転が速い方なんだと思います。自分でめちゃくちゃ考えているから、少しでもノッキングが起きたら「ここってこういうこと?」と、すぐディスカッションをされていて。めっちゃ視野が広くて素敵な方だなって思います。
彩風さんは宝塚歌劇にずっといらっしゃったから、やっぱり立ち姿や所作がおきれいですよね。そんな方が海賊役で刀と鉄砲を持っている姿を見られる機会もなかなかないだろうし、ご本人もこういった殺陣は初めてとのことで、すごく真摯に向き合ってらっしゃって、刺激をもらっています。

――斑目笹玖としての注目ポイントはどんなところになりそうですか?

笹森:山賊の頭として存在している時と、兄弟だけで喋っている時のアンバランスさ、かな。こうでありたいっていう理想はあるけど、そうできない自分にもどかしさを感じている部分が表現しがいのあるところだし、そこを今回は求められていると思うので、注目ポイントというか、自分なりに意識してやりたいなって思うポイントです。

――最後に公演を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします。

笹森:世界観が独特で、今までの『HiGH&LOW』シリーズを観ている方も観ていない方も絶対楽しめると思います。僕自身も新しい感覚を養いながら稽古をしているところです。必ず面白い作品にしますので、ぜひ観に来てください。

(取材・文・撮影 双海しお)

 舞台『HiGH&LOW THE 戦国 外伝』は、東京・東京建物 Brillia HALLにて7月15~30日、大阪・梅田芸術劇場メインホールにて8月7~9日、愛知・御園座にて8月14~16日上演。

編集部おすすめ