WEST.としてのアーティスト活動はもちろん、確かな演技力で俳優としてもさまざまな作品で存在感を発揮する重岡大毅。この秋公開される主演映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』では、さらなる新境地を切り開く。
【写真】重岡大毅の優しい笑顔が最高すぎる! インタビュー撮りおろしショット
◆妹のために常軌を逸する主人公 多面的な自身をミックスさせて役作り
本作は、人間の選択とテクノロジーが交錯する完全犯罪サスペンス。原案・脚本・プロデュースを手がけるのは、『ライアーゲーム』シリーズ、『宇宙を駆けるよだか』、『マスカレード・ホテル』シリーズ、『#マンホール』などで知られる岡田道尚。監督は、第2回日本ホラー映画大賞を受賞し、受賞作を長編化した『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で商業映画監督デビューを果たした近藤亮太が務める。
「お兄ちゃん…どうしよう」。航の携帯に突然かかってきた高校生の妹・幸来からの電話。彼女のもとへ駆けつけると、そこには部活顧問の教師の遺体が横たわっていた。意図せず教師を死なせてしまった妹を守るため、航は生成AIに「完全犯罪を成立させる方法を教えてください」とプロンプトを打ち込む。しかし、予期せぬ事態が次々と発生し、2人は事件に巻き込まれていく。彼らは果たして、完全犯罪を成立させることはできるのか。
――オリジナル作品となる本作。台本を読まれての感想はいかがでしたか?
重岡:台本をもらったくらいの時期に、ちょうどAIに興味を持ち始めていたんです。
――日頃からAIは活用されているんですね。
重岡:課金ユーザーです(笑)。ニュースサイトをパッと開くみたいな感じで、気が付いたら何か気になったことを調べてます。プライベートでも、「何分後にどこどこに行くんだけど、その道中でおいしいご飯屋さんはない?」「朝ごはん、こんな感じしか食べられてへんねんけど、もうちょっと食べた方がいいかな?」とか。結構べったりな使い方をしている自分がいますね。ただ、“なくてはならない”となってしまうとヤバイなと思ってるんで、時間は決めて触っています。
――今回演じられた航というキャラクターはどんな人物だと捉えられましたか?
重岡:幸来という大切な存在を守る、っていうのは分かる。ただ、航は航の守り方をしているから、そこが自分とは違う。冒頭「完全犯罪を成立させる方法を教えてください」と始まるんですけど、僕は警察に行っちゃうなと思うので、分かるけど違うなというところを埋めていく作業が大変でした。
航の守り方は普通に見えていて、割と常軌を逸するところもあるなと思うんです。それがすごく表面的に見えるわけじゃなく一見普通だけど妹を守るために思い切った行動をする、そんな人だと思いました。
◆原菜乃華&田中みな実が“太陽のような”重岡を絶賛も「自分がやりやすいように勝手に環境を作っているだけ」
――航にとってかけがえのない存在の幸来を演じられた原菜乃華さんとは初共演です。
重岡:実際お会いすると、やっぱり声がいいですよね。声がとっても素敵で、「もう妹やん!」って思いました(笑)。普段お芝居している時の凛とした佇まいと、普段のギャップも妹みたいでかわいかったです。
現場でのコミュニケーションはやっぱり取ったほうがいいと僕は思うので、結構ガサツにグイグイ行きましたね、ズケズケと(笑)。分からないけど、たぶんお兄ちゃんってちょっとそんなもんちゃう?って。「勉強してんの?」「ご飯どうしてんの?」とか、「普段めっちゃアニメ観てるらしいな。やめとけよ」とか(笑)。否定から入るウザ系の兄でしたね。原さんも「ちょっと!」みたいにリアルな感じで返してくれるんで助かりました。
――もう一人のキーパーソンが田中みな実さん。
重岡:最高におもろかった!(笑) “エンタメの煮こごり”みたいな人ですね。もちろんお芝居をしてもすごいし、現場では一生喋ってましたよ。会話が終わらないんです。僕がズケズケしがいのある人間なのかもしれないですけど、向こうもちょっとズケズケくるし、僕もどっちかっていうと結構土足で行くので(笑)。
――田中さんは重岡さんについて「歯並びがいい」とおっしゃっていました。
重岡:俺のこと、「歯」だと思ってるんですよ。「歯多いね、歯多いね」「もう歯だね」って(笑)。
――原さんも田中さんも、重岡さんがいらっしゃることで現場が明るくなる、太陽のような人だともおっしゃっていました。
重岡:いろいろな現場でみんな言ってくれるんですけど、多分そういう現場の方がやりやすいんですよ、俺。なので自分がやりやすいように勝手に環境を作っているだけなんで、その現場作りを受け入れてくれてありがとうございますという感じですね。
――近藤亮太監督とのやりとりで印象に残っていることはありますか?
重岡:やっぱりこういう作品だから結構追い込まれていっちゃって、そういう感じの重たいセリフ運びのシーンになりそうだったんですけど、監督が「どんな環境でも人間は適応するものだから」って言ってくれて。
現場ではいつもいろんなことを考えた結果、自分が思うことをやってみるというところに行きついちゃうんですよね。ダメだったら「そこはこうじゃないです」と現場で見ている監督が言ってくれると信じていつもやっているんです。しかも、いろいろ決めて現場に行ってやってみても、上手くいかないことの方が多いというか、やっぱり柔軟性が大事だと思うんですよね。事前にノートにいろいろ書いて臨んだりしますけど、本番になったらいつも全部捨てますね。今回も監督が「ん?」と思う時には「ちょっといいですか?」と走ってきてお話してくれるので、皆さんのおかげであまり固くならずにやれたかなと思います。
◆「作品を通してどんな人と出会うか」を大事にしたい
――グループとしての本業はもちろん、演技のお仕事でも作品を重ねるごとに俳優としての存在感も増している重岡さんですが、俳優として過ごす時間にはどんな意味がありますか?
重岡:俳優として声をかけていただけるっていうのは、ものすごく自分を豊かにしてくれてると思います。自分の中で「本業ってなんだろう?」と考えると、自分のメインと思うのって、やっぱり音楽なんです。でも、音楽1本でやっているとたぶん行き詰まると思うんですよ。どこかで俳優としての自分の重心のかけ方もあるって分かっているんですよね。で、それは俳優をやってる時も一緒なんです。だから、とてもありがたいことだと捉えています。
今ちょっと分けて話しちゃったんですけど、実際はあまり分かれてないような気もするというか。っていうのも、やっぱりどこかで培った技術っていうのを他の分野で横に繋げるっていうのは、とても大事なことだと思っていて。だから割と僕、お芝居の時にライブっぽい感覚みたいなものも、実は持ち込んだりしているんですよね。この仕事だけじゃないと思うんですけど、いろんな培った経験、技術っていうのをいろんな分野で繋げていくから、その人個人個人のオリジナリティが出てくると思っているんで。そういう意味では、いろいろな経験がこういう俳優という場所で活かされているのであれば、これまでもやってきてよかったし、これからもやっていきたいなと思っています。
――本業のステージと俳優業が作用し合っていると感じる部分もありますか?
重岡:ありますね。シンプルに作品を入口として俳優業での仕事で知ってもらうってことが結構大きいです。やっぱり音楽だけやっていても届かない層っていると思うし、実際今も自分が興味があるものばかりスマホに出てきたりするじゃないですか。そういう意味では、やっぱり音楽だけじゃなくて俳優っていうので知らない人にリーチするのはすごく大事なことだなと思うし、お互いいろいろと作用し合っていると思います。
――そんな中で、本作は重岡さんにとってどんな影響を与えてくれましたか?
重岡:撮る前からどこか映画祭に行けたらいいねという話はしていたんですけど、プチョン国際映画祭に行けたのはすごくいい経験でした。まさにこの映画でやりたかった、狙っていたことが叶ったのでそれは本当によかったですね。行ったことによって、僕自身も映画祭っていうものに対してまた新しい興味が湧くし、「じゃあ、次どうしよう」みたいな思いつきが浮かぶ。
――今後、俳優・重岡大毅として、どんな姿を目指していますか?
重岡:あまり期待はしていなくって。たぶんどこまで行っても、作品もそうだけど、作品を通してどんな人と出会うかだと思っていて。今回も完全オリジナル作品ということでやっぱりいろんな方にすっごい熱量があるんです。そういう熱量に巻き込まれることが楽しいし、なんやったらそういう熱量で自分を巻き込んでいきたい。そういう作品の元にそうやって人は集まってくるから、そんな作品に出たいなっていうのは、俳優業としての目的として大きいかもしれないです。
でも実はいつかやってみたい役がひとつだけあって。ボクサー。これは自分の人生ではもう叶わないなと思っているんで、ちょっと公私混同させたやつですけど体験してみたいです。
(取材・文:近藤ユウヒ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])
映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』は、9月11日全国公開。
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