北朝鮮で個人の自家用車所有が事実上解禁され、急激に普及している。脱北者出身の東亜日報記者、チュ・ソンハ氏が自身のYouTubeチャンネルで明らかにしたところでは、北朝鮮では昨年1年間だけで約9,000台の自家用車が販売され、その大半が平壌に集中している。
チュ氏によると、昨年の自家用車販売台数は平壌だけで約8,000台に達し、地方での販売(約1,000台)を圧倒している。
国境地帯では中国からの車両密輸の動きも活発化しており、衛星画像では鴨緑江沿いに32箇所の仮設渡河ルートが確認されたほか、対岸の恵山市内でもタクシー表示を掲げた車両が急増している。
北朝鮮の民法(第58条)では本来、個人の財産を「労働による分配」や「相続・贈与」などに限定しており、これまで市場で稼いだ資金での車両購入は不法な資産蓄積とみなされ、没収のリスクがあった。しかし昨年初め、当局は資産の形成過程を証明しなくても車両を購入できるよう運用を事実上緩和し、相続も認める方針に転換したもようだ。
販売現場では、複数人が資金を出し合って分割払い(ローン)で購入するケースや、ツケ(掛け売り)での取引も一般化。また、平壌の「阿美山(アミサン)自動車技術奉仕所」などでは24時間100ドル(約1万5,000円)程度での車両レンタル事業も展開されている。これらは富裕層(トンジュ=金主)が投資として車両を購入し、運送業やタクシー営業で生計を立てる実質的な「私有ビジネス」の足場になっている。
一方で、新設された利用法第41条には「犯罪行為に利用した場合は没収する」との文言があり、当局のさじ加減でいつでも財産が奪われかねないことから、住民の間には依然として不信感も根強い。
しかし、配給制度の縮小や、不動産取引・企業経営・医療分野での社会主義的施策の形骸化が進む中、今回のマイカー容認はさらに劇的な変化を誘う可能性もある。
街中を走ることで人目に触れる自動車は、何にも増して「成功の象徴」になりやすい。それを手に入れる方法が、「国家に認められる」ことではなく「カネを稼ぐ」しかないのだとすれば、人々の意識をいっそう資本主義的なものへと導いてくかもしれない。








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