北朝鮮の朝鮮中央通信は9日、対敵研究院室長のカン・チョルス氏名による論評を配信し、日韓両国の安全保障協力について「自ら滅亡を招く危険極まりない軍事的結託」と強く非難した。特に、有事の際に弾薬や燃料などを相互に提供する「物品役務相互提供協定(ACSA)」を名指しし、「軍事同盟構築の最終段階」「軍事体系の実質的統合」と位置付けるなど、日韓協力の制度的な進展に強い警戒感を示した。
またその論調は、従来の「言い掛かり」とはやや趣を異にしている。 論評は、今年に入り韓国空軍機が日本の航空自衛隊から空中給油支援を受けたことや、9年ぶりに日韓の捜索救難訓練が再開されたこと、日本の防衛相が訪韓して安全保障協力を協議したことなどを列挙。「日本と韓国の軍事協力水準は一段と飛躍した」と主張した。 そのうえで焦点として挙げたのがACSAだ。日本メディアが5月の日韓安全保障政策協議について「ACSA締結に向けた具体的成果を狙ったもの」と報じたことや、韓国側から締結の必要性に言及する発言があったことを引用し、「国際社会は以前から軍事同盟構築の最終段階であり、軍事体系の実質的統合であるとして警鐘を鳴らしてきた」と論じた。 さらに、日韓協力は「共和国を狙った対決共助」であり、「米国の覇権戦略に便乗した『三角核共助システム』構築の一環だ」と非難。日本の長射程ミサイル配備や韓国の軍備近代化を挙げ、「だからこそ共和国は核戦力を持続的に拡大・強化し、核保有国としての地位を徹底的に行使しなければならない」と、核戦力増強の正当性を改めて主張した。 北朝鮮は従来から日米韓協力を「アジア版NATO」「軍事同盟」と批判してきたが、今回の論評は従来とはやや趣を異にする。7日付の朝鮮中央通信論評では、自衛隊が「ガザ地区事態以降、数多くのイスラエル製兵器を導入した」と主張したものの、公表資料ではそのような大量導入の事実は確認されておらず、実態との乖離が目立つ内容だった。 これに対し、今回の論評は、日韓共同訓練や防衛相会談、空中給油協力、さらにはACSA締結をめぐる議論など、実際に進んでいる安全保障協力を具体的に列挙。その上で、兵站協力の制度化が軍事同盟への決定的な一歩になるとの認識を示しており、単なる政治宣伝にとどまらず、日韓の安全保障体制の変化を軍事的観点から分析した内容となっている。
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