北朝鮮の朝鮮中央通信は11日、朝鮮労働党と政府、軍の幹部を集めた「党・政・軍連合会議」が10日に平壌で開かれ、人民軍総政治局の前組織副局長、パク・フィチョル氏の特大型汚職事件が取り上げられたと報じた。

同通信がパク氏の罪状としてことさら強調したのは「あらゆる権柄と専横を極め、自分に対する特別な幻想を振りまき」「腹心と追従者を重要職制に配置して党の唯一的軍指導体系の確立を阻害した」というものだった。

朝鮮では、忠誠の対象は最高指導者ただ一人でなければならず、一幹部が自らを中心とする人的ネットワークを形成することは、単なる汚職ではなく政治犯罪として扱われる。

この構図は、2013年に処刑された金正恩総書記の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長のケースを想起させる。当時の張氏は体制ナンバー2ともいわれた実力者であり、その権勢は北朝鮮社会の隅々にまで及んでいた。

「あまり美人に育たないでおくれ」
「それ以上、身長が伸びなければ良いのに」

北朝鮮では当時、自分の娘を眺めながら、このように願う親たちが少なくなかったという。

韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使が著書『3階書記室の暗号 太永浩の証言』で明かしているところによれば、党機関紙の労働新聞は張氏の「有罪」を伝えた記事の中で、彼の「悪行」も列挙した。

「張成沢は、権力を乱用して不正腐敗行為をこととし、多くの女性と不当な関係を持ち、高級食堂の裏部屋で飲食三昧におぼれた」

そして、北朝鮮当局は張成沢氏とともに、同氏の関係者たちを大量に粛清した。その中には彼の愛人だった女性たちや、彼に女学生を捧げたエリート女学院の校長までが含まれていた。

その様子が伝わるにつれて、娘を持つ親たちは恐怖と怒りに震えた。北朝鮮には、学業の成績優秀かつ美貌に恵まれた10代の少女たちを選抜し、権力者たちに仕えるタイピストや看護師、警護員に育てるシステムがある。有名な「喜び組」もまた、この中で養成されるのだ。

今回、断罪されたパク氏が張氏ほどの権勢を誇っていたわけではない。しかし、恐らく金正恩氏は体制引き締めを目的に、折に触れて特定の幹部を公開処罰していくに違いない。

編集部おすすめ