北朝鮮の金正恩総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党総務部長は27日、朝鮮中央通信を通じて談話を発表し、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)外相会議の議長声明が「朝鮮半島の完全な非核化」に言及したことを強く非難した。一方で、談話全体ではASEANそのものを敵視する表現は控え、米国主導の非核化政策への批判に論点を集中させる姿勢が目立った。

金与正氏は、ARF議長声明について「朝鮮半島情勢の本質を歪曲した」と反発し、「朝鮮民主主義人民共和国の憲法を無視し、米国が音頭を取る『非核化』論に同調した」と批判した。そのうえで、「国家憲法によって永久に固着した核保有国の地位は、法的拘束力のない文書一つで変更できるものではない」と主張し、「核能力は一瞬の停滞もなく絶えず更新される」と強調した。

今回の談話で注目されるのは、批判の矛先がASEAN加盟国ではなく、あくまで米国に向けられている点だ。金与正氏は「米国の御用ラッパ手に盗用される機会と空間を警戒すべきだ」と述べ、ARFが本来の役割を果たすよう求める表現を用いた。ASEANを「敵対勢力」と断じるのではなく、米国に利用されているとの構図を示した格好である。

北朝鮮は2000年からARFに参加しており、ASEANは現在も北朝鮮が加わる数少ない多国間安全保障の枠組みとなっている。こうした事情を踏まえると、議長声明への反発は鮮明に示しながらも、ASEANとの外交関係そのものを不必要に悪化させることは避けようとした可能性がある。

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