北朝鮮が、ロシアに最新鋭の長距離地対空ミサイルシステム「S-400」の供与を求めているとの情報が浮上した。事実なら、北朝鮮が老朽化した空軍の大規模更新よりも、地対空ミサイルを中心とする防空網の強化を優先しようとしている可能性がある。

ウクライナ国防省情報総局(HUR)のワディム・スキビツキー副局長が米CNNに明らかにした。北朝鮮はロシアへの兵員や弾薬供給の見返りとして軍事技術や装備を獲得しており、ロシア製の近距離防空システム「パーンツィリ-S1」をすでに入手。さらにS-400を求めているという。

S-400はロシア軍の代表的な長距離防空システムだ。複数種類の迎撃ミサイルを使用でき、航空機や巡航ミサイルなどへの対処を想定する。北朝鮮への供与が実現すれば、韓米両軍の航空作戦にも影響を与える可能性がある。

注目されるのは、北朝鮮の空軍力が核・ミサイル戦力や海軍に比べ、大幅に立ち遅れていることだ。

北朝鮮が保有する比較的新しい戦闘機でも、旧ソ連から導入されたMiG-29など、基本設計は冷戦期にさかのぼる。北朝鮮がロシアのSu-35など新鋭戦闘機の導入に関心を示しているとの情報は以前からあるものの、大規模な調達が実現したことは確認されていない。北朝鮮によるSu-35調達の試みは過去にも伝えられたが、実現しなかった。

仮にSu-35を数十機導入できたとしても、それだけで韓米との航空戦力の格差を埋めることは難しい。

現代戦闘機を実戦運用するには、機体だけでなくパイロットの訓練、整備要員、エンジンや交換部品、精密誘導兵器、レーダーや指揮統制設備など巨大な運用基盤が必要になる。

韓国軍はF-35Aステルス戦闘機やF-15Kを保有し、さらに在韓・在日米軍の航空戦力が加わる。

北朝鮮にとっては、戦闘機で韓米軍と正面から航空優勢を争うより、強力な地対空ミサイル網によって相手の航空作戦を難しくする方が現実的とも考えられる。

S-400はその意味で、Su-35数十機より米韓軍にとって厄介な存在となる可能性すらある。

北朝鮮側は航空戦で「勝つ」必要はない。平壌や核・ミサイル施設、軍指揮部、主要航空基地などの周辺に長距離防空システムを集中させ、韓米側に敵防空網制圧・破壊(SEAD/DEAD)を強いるだけでも軍事的な意味があるからだ。

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