北朝鮮が高市早苗首相への批判を強めている。日本の防衛政策や歴史認識への従来型の非難にとどまらず、高市氏個人を「軍国主義」の象徴として攻撃する傾向が目立つ。

朝鮮中央通信は24日、「日本の新軍国主義狂風は島国に滅亡の嵐をもたらすであろう」と題する論評を掲載した。15日の終戦の日に高市氏が靖国神社に玉串料を奉納し、全国戦没者追悼式に向かう途中で靖国神社の方向に遥拝したことなどを取り上げ、「軍国主義野心」が表れた行為だと非難した。

北朝鮮による「日本軍国主義」批判そのものは珍しくない。しかし高市政権発足後の論調では、日本政府全体への非難とともに、高市氏本人の政治姿勢を標的にする色彩が濃くなっている。

その傾向を象徴したのが、金正恩総書記の妹、金与正・朝鮮労働党中央委員会総務部長が3月23日に発表した談話だった。

高市氏は同月、トランプ米大統領との会談後、北朝鮮による日本人拉致問題を巡り、金正恩氏と直接会いたいとの強い意向をトランプ氏に伝えたと説明していた。

これに金与正氏は、「日本が願うからといって、決心したからといって実現する問題ではない」と反発。日本側が北朝鮮の認めない「一方的な議題」を解決しようとするなら、北朝鮮指導部には「会う意向も、対座することもない」とした。「一方的な議題」は拉致問題を指すとみられる。

そして談話の最後に異例の一言を付け加えた。

「徹底的に個人的な立場ではあるが、私は日本の首相が平壌に来る光景を見たくない」

北朝鮮の最高指導部に極めて近い金与正氏が、あえて「個人的」と断ったうえで外国首脳への拒絶感を表明するのは目を引く。単なる政策批判を超え、高市氏本人への強い不快感をあえて表に出した形だ。

もっとも、これを日朝対話に向けた駆け引きと見るのは早計だろう。現在の北朝鮮はロシアとの軍事・経済関係を急速に深め、中国との関係も重視している。対米関係ではトランプ政権との首脳外交の可能性が焦点となる一方、日本との対話を積極的に模索している兆候は乏しい。

かつて北朝鮮にとって日本との国交正常化は、大規模な経済協力を得る可能性を伴う重要な外交カードだった。しかし対ロ関係がかつてない水準に達した現在、日本との関係改善を急ぐ必要性は以前より低下していると考えられる。

そうした環境の変化が、高市氏への遠慮のない攻撃を可能にしている面もありそうだ。

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