北朝鮮が軍高官の大幅な人事を断行した。国防相だった努光鉄(ノ・グァンチョル)氏に代わり、人民軍総政治局長だった金成基(キム・ソンギ)氏が国防相に就任。

一方、今年2月の第9回朝鮮労働党大会で軍指導部の第一線から退いていた朴正天(パク・ジョンチョン)氏が、党中央軍事委員会副委員長として復帰した。

朝鮮中央通信によると、人事は29日の党中央軍事委員会第9期第2回会議で決定された。同会議では今後の国防事業に関連した「構造改編案」も討議された。

今回の人事でまず注目されるのが努氏の処遇だ。国防相を退いたため降格と見ることもできるが、新たな職務は党中央委員会軍需工業部第1副部長。兵器の開発・生産を担う党の重要部署であり、単純な失脚とは言い切れない。

7月には、軍の不正や規律違反をめぐってパク・フィチョル少将が処罰される事件が明らかになっている。ただ、軍内部の思想や規律を監督してきた総政治局長の金成基氏が国防相に起用されたことや、努氏が軍需工業部に移ったことを考えると、今回の人事とこの事件との関連性は強くなさそうだ。

むしろ目を引くのが、朴正天氏の復帰である。

朴氏は砲兵畑を歩み、砲兵司令官や総参謀長などを歴任した。北朝鮮が600ミリ超大型放射砲や長射程多連装ロケット砲、精密誘導兵器など砲兵戦力の近代化を進める中、その専門性は再び重要性を増している。

現在の北朝鮮にとって軍需産業の意味も以前とは違う。

ロシアへの大量の砲弾や兵器供給が続く一方、北朝鮮製の弾道ミサイルなどはウクライナ戦争で実戦使用されている。戦場から得られたデータや経験を新兵器の改良に反映できる環境が生まれている。

今回の人事とほぼ同時に、金正恩総書記が新たな兵器戦闘システムの開発などで功績を挙げた国防科学者らを表彰したことも興味深い。北朝鮮側は最近開発された技術について、「戦争遂行と抑止力の強化」に重要な成果であり、兵器システムの現代化における「一大革命」だと強調した。具体的な技術の内容は明らかにしていない。

科学者の表彰と今回の人事が直接結びついている証拠はないが、砲兵の専門家である朴正天氏を軍事政策の中枢に戻し、努光鉄氏を兵器開発・生産を担う軍需工業部へ配置したという組み合わせは注目に値する。

編集部おすすめ