時代のトップを走る大人気のヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさん(44歳)には、意外なバックグラウンドがある。毒親に育てられたという厳しい家庭環境で育った幼少期。
そんな自身の過去を、現在の自分のスキルに「繋がっている」と語る。

メイクアップバトル番組『ビューティバトルロワイヤル』(Amazon Prime Videoにて独占配信中)でチェアマンを務めている小田切さんが、メイクの力に気づいた瞬間とは。

継母からの虐待…毒親が「使い分けていた顔」

――小田切さんは、5歳での実母との別れや、継母からの虐待についてなど、大変な家庭環境で育ったことを告白されています。その経験が、今の美容という仕事に繋がる部分はありますか?

継母からの虐待…“顔”が変わる「やべえ女」から小田切ヒロが得...の画像はこちら >>
小田切ヒロさん(以下、小田切):たくさんあります。むしろその過去があったからこそ今の私がいます。私の、人のコンプレックスをプラスにしたり魅力を最大限に引き出すスキルというのは、私自身の幼少期の辛い過去から繋がっています。

――辛い経験から繋がっている……。

小田切:メイクというのは、自分を肯定することもできれば、隠すこともできるものです。手段として生かしたり輝かせるメイクもできれば、嫌なものを全部隠すこともできる。それは、私の幼少期の毒親がやっていた術なんです。表向きの顔、家の中での顔、いろんな顔をメイクで作っていました。私はそれを陰から、隙間からずっと見ていました。

病んでいた時、「ラメ」で心がふわっと高揚した

――そこから何かを感じ取ったのでしょうか。

小田切:この女はやべえな、と思っていました。
それを見たことで「こうなりたい」と思ったわけではなく、ただただ、メイクにはこんな力があるんだなと。

継母からの虐待…“顔”が変わる「やべえ女」から小田切ヒロが得たもの。自己肯定感は低くていいと話すわけ
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――そのメイクの力に、ご自身で改めて気づいた瞬間はありますか?

小田切:自分の心がすごく病んでいて、本当に行き場を失っていた時に、自分の顔にラメをつけたんです。そしたらふわっと心が高揚して、キラキラして。とてもキレイでずっと鏡を見ていました。メイクというのは、この気持ちをうまく利用するんだと気づいた時に、「すごいかも」とハッとしたんです。

「自己肯定感を高める」なんて、簡単なことじゃない

――ここ数年「自己肯定感」という言葉も、耳にするようになりました。

小田切:自己肯定感なんて上等なもの。自分を肯定するなんて、そんな簡単なことじゃないんですよ。自己肯定感なんて低いところがベースなのが当たり前で、世の中の人みんなそこにいるんです。

自己肯定感が低い人ほど、魅力的になる

――なるほど。

小田切:自己肯定感が低い人ほど、肯定させるためのプロセスや努力をするので、そのぶん魅力的な人間になっていく。何も成し遂げていないのに、経験していないのに、「私は自己肯定感が高い」と言っちゃう人は、むしろ恥だと思ったほうがいい。ただの楽観的な人間です。

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『バトルビューティロワイヤル』(C)2026 CONDÉ NAST JAPAN. ALL RIGHTS RESERVED.
――たとえば鏡も見られないとか、コンプレックスと向き合うのが苦手な人もいます。


小田切:嫌いな部分をただ見続けても、好きになることは絶対にありません。見続けるだけ時間の無駄。嫌いなパーツをどう好きになるか、ちゃんとアウトプットしていく。一重や鼻の大きさなどいろいろなコンプレックスに対して、試行錯誤しながらトライしていくことです。

何も取り入れずに、ただ見つめているだけで好きになるわけがない。人間は、努力をしないで自分を肯定することはできません。積み重ねていくうち、きっと肯定できると思います。

努力せず、否定だけの人には寄り添わない

――逆に言えば、その時点で「嫌い」という点が明確だとも言えますね。

小田切:そう。何が嫌いなのかがわからない方が、実は大変なんです。おそらく周りから何か言われたりして、傷ついたりしたことがきっかけだと思います。でもそこでヒントも得ているはず。
嫌いなパーツをどう自分の中で解釈するか、プロの手に委ねて客観的に見てもらうのもいいですし、自分で調べたりメイクをしたり、技を磨いていく。

努力をせずに自分で止めて、否定しているだけの人には、私は寄り添いません。

――現代ではAIメイク診断やAI顔面偏差値診断アプリなどが流行っていますが、それらはいかがでしょう。

小田切:遊び、占いと同じエンタメの一種です。信じるか信じないかはその人次第。いいとこだけ汲み取ればいい。AIとうまく共存し、バランスよく取り入れていくことです。

――AI診断で落ち込む人がいたら。

小田切:そんなのエンタメに振り回されているだけ。落ち込む自分も楽しみなさい。AI診断は統計学。平均値を知ることは大切ですが、そこに合わせなければいけないルールなんてない。
それこそ鏡と向き合って、アウトプットしていってください。

<取材・文・写真/望月ふみ>

『ビューティバトルロワイヤル』はAmazon Prime Videoで独占配信中

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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