レビュー

部下やチームメンバーの力を引き出したいのに、気づけば否定的な言葉が先に出てしまう。後悔しても取り返しはつかず、相手は委縮して、ますます成果が出づらくなる――。

そんな苦い経験に心当たりがある上司は少なくないはずだ。同じ後悔を繰り返したくないなら、本書は有力な手がかりとなる。
著者の林健太郎氏は、エグゼクティブ・コーチとして延べ2万人以上のリーダーを指導してきた実績を持つ。「否定しない専門家」という肩書きも持ち、著書の『否定しない習慣』『子どもを否定しない習慣』『リーダーの否定しない習慣』はシリーズ25万部超のベストセラーとなっている。
今作のテーマは「否定しない言い換え」だ。無意識に口をついて出る否定的なフレーズを、より適切で建設的な表現へと変換する具体例がシーン別に紹介されている。ポイントは、否定を、相手の行動を前に進める言葉へ置き換える点にある。
たとえば、部下がミスをしたとき。「なんでこんなこともできないの? 何度も注意したよね」と責めるのではなく、「まずは話を聞かせてくれる?」「次からどうすればうまくいくと思う?」と問いかける。過去を責めるより、未来に意識を向けたほうが、行動改善につながりやすいからだ。
本書では、上司から部下への声かけだけでなく、同僚同士、部下から上司、さらにはクライアント対応まで、場面別に言い換えフレーズが提示される。ビジネスシーン以外にも、子どもや友人、パートナーへの言い換え例も豊富だ。
実践すればコミュニケーションの失敗が減り、相手との関係がより良好なものとなるだろう。

本書の要点

・否定の大半は、無意識に、良かれと思って、そして反射的に発せられている。この反応を抑える最も手軽な方法は、感じたことを即座に口にせず、いったん頭に浮かんだ「否定的な言葉」を整理したうえで、「否定にならない言葉」に言い換えてから伝えることだ。
・お客さまから無理難題とも思える要望を受けたとき、「それはできません」と返すのは避けるべきだ。「〇〇をお望みなんですね。よければ、その理由などをお聞かせいただけますか?」と相手の言葉を受け止め、その意図や背景を丁寧に探るのが正解である。



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