レビュー

「今の仕事が大好きだ」「仕事が楽しくて仕方がない」と胸を張って言えるビジネスパーソンは、それほど多くないだろう。好きな仕事との出会いを求めて転職を繰り返している人も少なくないはずだ。

だが著者は、本書の冒頭でこう断言する。
――「好きな仕事」は、探して見つけるものではない。目の前の仕事を「技術」によって変換し、事後的に「好き」になっていくものである。
著者の北野唯我氏はワンキャリアの上級執行役員CSOである。累計20万部を超える『転職の思考法』をはじめ、多くの著作を持ち、ビジネスパーソンから高い支持を集めている。
北野氏は本書の中で、自身のキャリアについて「決して華やかなことばかりではありませんでした」と振り返る。実際、新卒で入社した会社では希望とは異なる部署に配属され、地味な数字の確認作業に追われる日々を送ったという。本書では、そうした時期を乗り越え、「仕事が好きだ」と言えるようになるまでに実践してきた考え方や行動を体系的に整理し、「技術」としてまとめている。
著者によれば、「最初から100%楽しい仕事など存在しない」。しかし、「キャリアラダー」(成長と幸福の階段)を一段ずつ登ることで、仕事も人生も楽しめる「Well-being full」な状態に到達できるという。そして本書では、その階段の登り方が具体的かつ実践的に解説されている。
「やらされ仕事」にモヤモヤしている人や、望むキャリアを歩めていない人に、本書は有力なヒントを与えてくれる一冊である。
読み終えたときには、「Well-being full」な状態に近づく準備ができているはずだ。

本書の要点

・キャリアの成果には、収入や肩書といった「PL」と、信頼やウェルビーイングといった「BS」がある。BS的な成果を蓄積して幸福な状態に到達するには、5つの「キャリアラダー」を順に登る必要がある。
・仕事の退屈さは環境や適性ではなく、「自分に選択肢がない」という認識から生まれる。
・仕事を心の底から好きになるためには、PL(自分の成長)のゲームから離れ、BS(信頼という資産)を積み上げるフェーズへと移行しなければならない。



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