先週はAI株乱高下の陰で非AI株が上昇、ほぼ全面高の展開でした。今週はAI株の勢いがどこまで続くかが焦点。

工場新設ラッシュで潤う半導体設備投資関連株の上昇に期待したいところ。また小売企業の決算発表が相次ぐため、好業績が続く内需株中心に非AI株の底上げ相場が続きそうです。心配なのは円安進行による為替介入や長期金利の上昇です。


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今週のトピック:6月FOMC議事録公開。ファーストリテイリング、イオン決算発表

日付 イベント 7月6日(月) ・米国で6月ISM非製造業景況指数 7月8日(水) ・アサヒグループホールディングス(2502)、
吉野家ホールディングス(9861)などが決算発表
・国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しアップデート
・米国で6月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公開 7月9日(木) ・セブン&アイ・ホールディングス(3382)、ローツェ(6323)、
ファーストリテイリング(9983)が決算発表
・米国で6月中古住宅販売件数 7月10日(金) ・イオン(8267)、安川電機(6506)が決算発表

・乱高下が続く人工知能(AI)半導体株の押し目買い意欲がどこまで強いかが焦点。AI向け計算能力の転売・コストダウンの動きや半導体市況の動向に一喜一憂する相場展開に?


日経平均株価が下落したとしても、非AI株の見直し買いで「値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回る」底上げ相場が続く?


・米国の雇用減速で7月利上げ懸念遠のく。8日(水)公開の6月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、ウォーシュ新議長による米連邦準備制度理事会(FRB)改革の詳細が明らかになれば市場が混乱する恐れも


7月6日(月)の日経平均

 朝方は前営業日比229円高の続伸でスタートしていましたが、その後反落し前場は前営業日比824円安の6万8,919円で終了。後場になり下げ幅は縮小したものの6万9,500円台のマイナス圏で推移しています。(7月6日14時現在)。


AI・半導体株に「物色終了」のお知らせ?…株価の命運を握る「転換点」は今週金曜か
日経平均株価のチャート

先週(6月29日~7月3日)の主要株価指数

  終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万9,744円 +383円 +0.55% TOPIX 4,064.6pt +101.2pt +2.55% ダウ 5万2,900ドル +1,023ドル +1.97% S&P500 7,483pt +129pt +1.76% ナスダック 2万5,832pt +535pt +2.12%

今週のマーケット:AI株の押し目買いが続くかは微妙?非AI株の見直し買い相場に期待

 今週は6月末から乱高下が続くAI半導体株の押し目買いがどこまで続くかが焦点です。


 ただ、相場全体を見渡すと、AI株から非AI株へのセクターローテーション(資金移動)が進み、これまで下落していた好業績割安株が見直し買いされる底上げ相場がより鮮明になりそうです。


 先週はフェイスブックの親会社である米国メタ・プラットフォームズ(META)が自社で使わない余剰なAI向け計算能力を外部顧客に販売する計画が報じられたことで、AI投資がピークアウトするのではないか、という懸念が台頭。


 この報道を受け、AIクラウドインフラ事業への新たな参入が好感されたメタ・プラットフォームズは前週末比5.9%上昇しましたが、AIデータセンターに半導体メモリを供給するマイクロン・テクノロジー(MU)は14.0%も急落しました。


 その他にも、生成AIソフト「ChatGPT」運営の米国オープンAIがAIの推論コストを半分以下に削減する方法を開発したという報道や、半導体メモリの価格高騰に苦しむiPhone製造のアップル(AAPL)が禁じ手といえる中国企業からのメモリ調達を検討中という報道も流れており、強気一辺倒だったAI相場は疑心暗鬼の空気に包まれそうです。


 しかし、先週3日(金)には一時、前週末比27%安の6.7万円台まで急落していた半導体メモリの人気株キオクシアホールディングス(285A)が前日比9.2%高まで値を戻すなど(週間では9.6%安)、劇的にリバウンド上昇しました。


 今週9日(木)には世界的な半導体工場の新設で潤う半導体ウエハ運搬装置のローツェ(6323)、10日(金)にはフィジカルAI分野で注目される安川電機(6506)が決算発表。


 好決算でAI株への押し目買い意欲がさらに活発化する展開に期待したいところです。


 日本ではスーパー、コンビニ、外食、食品、アパレルなど内需小売株に多い2月決算企業の第1四半期(3-5月期)の決算発表が相次ぎます。


 具体的には8日(水)に吉野家ホールディングス(9861)、9日(木)にキユーピー(2809)、セブン&アイ・ホールディングス(3382)、「ユニクロ」のファーストリテイリング(9983)、10日(金)にイオン(8267)などが決算発表。


 好決算続出なら、これまで売り込まれてきた内需株の見直し買いにつながる可能性もあります。


 また米国では8日(水)夜に、6月17日終了のFOMC議事録が公開されます。


 トランプ米大統領から直々に指名を受けたウォーシュFRB新議長初のFOMCでしたが、ウォーシュ議長は声明文からフォワード・ガイダンスの一文を削除するなど、将来の金融政策の見通しを市場に明示することには消極的です。


 FOMC議事録でウォーシュFRB議長が金融政策の根回しを十分に行わず、サプライズな政策転換で経済動向の変化に先手を打つ方針を明らかにしていると、金融市場が混乱する恐れもありそうです。


 ただ、先週2日(木)発表の6月米国雇用統計の非農業部門雇用者数は予想の11万人増を大幅に下回る前月比5.7万人増に減速。


 ウォーシュFRB議長も先週1日(水)に開催された欧州中央銀行(ECB)フォーラムの討論会で、米国イランの終戦期待で米国の原油先物価格が開戦前の1バレル68ドル台まで下落していることもあり「インフレリスクは後退した」と発言。


 7月29日(水)終了の次回FOMCでの早期利上げ懸念が後退しているのは株式市場にとって追い風です。


注目イベント:円安進行で為替介入?長期金利の上昇が心配

 日本では、先週1日(水)に一時1ドル162円80銭台と39年半ぶりの円安が進行したこともあり、今週も為替介入に注意が必要です。


 1ドル162円80銭台をつけた後、2日(木)には一時160円60銭台まで2円20銭近く円高が進み、市場では為替介入ではないかという警戒感が広がりました。


 財務省の為替担当の三村淳財務官は「一切コメントは差し控える」と介入の有無を明らかにしていません。


 もし本当に為替介入が行われた場合、株安につながる円高がさらに進んでもおかしくないため、今週も警戒が必要です。


 また、高市政権の積極財政や日本銀行の利上げをけん制するような「骨太の方針」報道もあり、日本の長期金利の指標となる10年国債の利回りは約29年ぶりに2.81%まで上昇。


 長期金利の上昇は先週見直し買いされた不動産株、建設株など借入金の多い企業にとって逆風になるため、今後の長期金利の動向に注意が必要です。


市場別マーケット動向

日本市場

 日本市場では先週、急落後に派手にリバウンド上昇したAI半導体株の勢いが続くかが焦点。


 先週はAIデータセンター向け光ファイバーの古河電気工業(5801)が前週末比11.7%安、電子部品向け銅製品のJX金属(5016)が10.3%安になるなど非鉄金属株が大きく下落。3日(金)の反転上昇も勢いがありませんでした。


 その一方で、AIサーバー向けコンデンサーを手掛ける太陽誘電(6976)は外資系証券会社の目標株価引き上げもあって前週末比22.5%高、半導体ウエハの世界的な争奪戦を好感してウエハメーカーのSUMCO(3436)が33.4%高。


 ソフトバンクグループ(9984)も、傘下のソフトバンク(9434)が日本国内のフィジカルAIなどの基盤実現に向けた官民プロジェクトを立ち上げたことが評価されて、0.9%の下落で踏み止まっています。


 同じAI関連株でも非常にちぐはぐな動きが目立つだけに、今週も乱高下に注意が必要です。


米国市場

 米国でも、先週は4月以降のAI株急騰を先導してきた半導体メモリのマイクロン・テクノロジーが14%安、キオクシアHDと提携関係にあるサンディスク(SNDK)が17%安と急落。


 一方、オフィスソフトも手掛けるマイクロソフト(MSFT)が4.7%高、AIには乗り遅れているもののiPhoneという優良収益源を持つアップルが8.8%高、グーグルを子会社に持つアルファベット(GOOG)は6.4%高、軍事産業向けソフトウエア企業のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)が14.5%高。


 巨大IT企業やAI脅威論で売られたソフトウエア株に投資資金が回帰し、半導体メモリ株などハードメーカーの株価は下落しています。


 米国株全体では、これまで下落が続いていた製薬株をはじめヘルスケア、生活必需品、銀行業といったセクターが上昇。


 今週、米国では大きな経済指標の発表もないため、AI株から非AI株への「主役逆転相場」が続く可能性も高そうです。


業種・銘柄の動き

銘柄 先週の
騰落率 ポイント キオクシアHD(285A) ▲9.6% 先週3日に激しくリバウンド上昇。勢い続くか? フジクラ(5803) ▲12.6% AI株で最も売りが目立つ光ファイバー株。今週は? メタ・プラットフォームズ(META) +5.9% 計算能力販売で上昇もAI投資不調は下げ要因にもなる? モデルナ(MRNA) +18.6% 製薬株見直し機運の中、インフルエンザワクチン承認で続騰?

先週までの振り返り:AI株では半導体設備投資関連が強い!ITサービス、保険、銀行株を先導役に全面高!

 先週はAI株急落で日経平均が下落しているのに、非AI株がほぼ全面高という底上げ相場でした。


 特に7月2日(木)は日経平均が1,741円(2.47%)急落したにもかかわらず東証プライム市場の値上がり銘柄数が1,215、値下がり銘柄数が314と全体の8割近くが値上がり。


 日経平均が前週末比0.55%と辛うじてプラスだった中、より全体相場の動向を反映した東証株価指数(TOPIX)が2.55%高と、5営業日連続で上昇したのが象徴的でした。


 週間の業種別上昇率では、前週末比11.3%高した半導体ウエハ装置のSUMCO、中東情勢緩和によるナフサ下落などを好感して5.3%高した建材メーカーのLIXIL(5938)が属する金属製品セクターが1位。


 日銀の利上げ継続観測や10年国債の金利が一時29年ぶりに2.81%まで上昇したことを好感して保険業、銀行業などが上位に。


 AI脅威論にさらされて株価の下落が続いていたソフトウエア株、ITコンサルティング株が見直し買いされたことで、サービス業も堅調でした。


 具体的には、ITコンサルティングのベイカレント(6532)がAI導入支援事業の成長を期待されて20.6%高、弁護士の営業支援サイト運営の弁護士ドットコム(6027)が16.6%高と反転上昇しました。


 個別株では、半導体のウエハ洗浄装置で世界トップの芝浦メカトロニクス(6590)が37.0%高と急騰。


 半導体メモリで世界的なシェアを誇る韓国のサムスン電子、SKハイニックスの2社が今後、約83兆円をかけて半導体工場を新設するニュースが流れたことで、半導体関連の出遅れ株として物色されました。


 今後はAIデータセンターよりも、実際に価格高騰が進む半導体の新工場建設で潤う半導体製造装置、部材、素材メーカーが何かと物色される流れになるかもしれません。


セクター・業種(上昇・下落)

銘柄 騰落率 備考・要因 金属製品 +10.56% 半導体ウエハメーカーSUMCO(3436)が急騰 保険業 +7.99% 国内長期金利の上昇を好感 サービス業 +6.49% IT関連サービスを手掛ける銘柄に見直し買い 鉱業 ▲2.60% 原油価格続落で下げ 非鉄金属 ▲9.30% 光ファイバー株総崩れで独歩安

(トウシル編集チーム)

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