レビュー
日記はブームになっているが、そもそも「日記に何を書けばいいのか」と考えると、その答えはスッと出てこない。つまらないことを書いても仕方ないし、誰かに読んでほしいような、読まれたら恥ずかしいような宙ぶらりんな気持ちを抱えたまま、三日坊主で終わってしまう。
いまやダイアリスト(日記作家)を自認し、日記の専門店を運営している著者であっても、日記をつける「やりがい」はよくわからないものであるという。しかしそこにはある種の「手応え」がある。「これからも生きてみよう」という小さな意志が。日記は、ただの「記録」ではないのだ。「生の断片」を切実に記録し、ときに他者と分かち合いながら、「やめる」ことだってある。途絶の痕跡ですら、「日記の書き手の日常の機微や、世界のありよう」を伝えている。実に「人間くさくて創造的な営み」といえるだろう。
だから著者は問う。「日記をつけて、いったい何になるというのか」と。これは、日記をつけている人、何か書こうとしている人、日記なんて無理と感じている人、すべてに共通する問いかけではなかろうか。本書を読みながら、一度じっくり腰を据えて考えてみよう。その答えらしきものに近づけたとき、目的や世間からの評価、自分の意思さえもいったん脇において、まっさらな日記帳に、ひとまず日付を書き入れてみようという気持ちになっているはずだ。
本書の要点
・ほとんどの日記は他者にとって「一見どう読めばいいか、わからないもの」だが、それでも人は、日常的な些事を記録したり、読んだりしたいと思う。
・日記は、何をどこから書いても自由だし、どれだけ書くかも自由である。書くことに迷ったとしても、本当に何もない日は案外ないものだ。
・「他者の日記を読むことは、自分と世界との『接点』を増やすこと」である。
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