レビュー

「椅子に座ったぬいぐるみ」「お地蔵さん」。これらは、何を指しているかわかるだろうか?
答えは、「会議に参加しているのに何も発言しない人」。

著者が外資系コンサルティングファームに勤めていた頃、会議で一言も発言しない人は陰でこう呼ばれていたという。背筋が寒くなるような、なんとも恐ろしい話である。
日本では長らく「沈黙は金」とされ、周囲の空気を読み、それに同調することが「正解」だと考えられてきた。しかし変化が加速し、企業の生き残り競争が激しくなっているいま、その考え方は通用しなくなりつつある。組織に属する以上、誰もが何らかの価値を提供し、ビジネスを前進させるための貢献が求められている。
本書は、その第一歩となる「自分の意見をつくる」ためのスキルを教えてくれる一冊だ。そもそも「意見」とは、思ったことをそのまま口にする感想や、情報分析による現状説明とは異なる。客観的事実を自分なりに解釈し、それをもとに判断を下して、自分のスタンスを主張することが「意見」なのである。
日本人は教育の過程で、「自分の意見を持つこと・表明すること」の重要性や方法について、ほとんど教えられる機会がない。大人になって突然「意見を出せ」と言われても、戸惑うのはある意味当然のことかもしれない。
本書を読めば、意見を持つことは怖いことでも難しいことでもないと理解できるはずだ。AI時代のこれからは、正解を出すこと以上に、「人間ならではの独自性」が重視されると言われている。
ぜひ本書を参考に、自分の意見をつくる練習を始めてみてほしい。

本書の要点

・意見とは「事実・解釈・価値基準に基づいた、あなたの判断」だ。情報をいったん頭の中で整理して、それを組み立ててから出すものである。
・意見は「事実」「解釈」「価値基準」「表明」の4つの要素で構成されている。これを「FIVEモデル」と呼ぶ。
・「事実」と「解釈」は区別しなければならない。それらを分けるのは「誰が見ても同じものかどうか」である。
・判断を下すには、自分の「価値基準」が必要になる。自分の価値基準を見つけるには「違和感」に注目して、それを言語化するとよい。



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