歌舞伎俳優・市川團子が話題の2作品に出演している。


 1作目は、新橋演舞場で上演中の「スーパー歌舞伎 もののけ姫」。

スーパー歌舞伎は、1986年、伝統に現代的なスペクタクルを融合させた斬新な歌舞伎演目だ。その第1作「ヤマトタケル」を主導したのは、團子の祖父.3代目市川猿之助(2代目・猿翁)だった。40周年となる今年、スタジオジブリの不朽の名作が、スーパー歌舞伎として新たな歴史を刻む。


 物語は、呪いをかけられた少年アシタカが“シシ神の森”を探す途中、山犬と暮らす少女サン、タタラ場に生きる人々と出会う。やがて森を破壊する人間と森にすむ神々との激しい戦いが……。人間と自然の衝突と共生への願いが壮大なスケールで描かれる。團子は、アシタカとシシ神の2役、父の市川中車は、猪神の最長老・乙事主を演じている。


 サン役の中村壱太郎、タタラ場を仕切るエボシ御前役の中村時蔵とともに臨んだ会見で團子は、「歌舞伎は工夫の歴史だと思っている」と語った。この稽古場でもさまざまにディスカッションしながら、場面を作り上げてきたと言う。


「我が名はアシタカ!!」


 颯爽と立つ團子は、とても凛々しい。早替わりや宙乗りなど、ダイナミックな演出で観客を魅了する。


 注目のもう一作は、大河ドラマ「豊臣兄弟!」の森乱。

織田信長(小栗旬)の近習として仕える若者だ。壮麗な安土城完成の祝いの宴では、信長の命令で長老格の林秀貞(諏訪太朗)、佐久間信盛(菅原大吉)、小一郎(仲野太賀)の義父である安藤守就(田中哲司)らと相撲をとり、すべて勝利。負けた安藤らは追放という厳しい処分を受けた。


 7月12日は、いよいよ「本能寺の変」が放送される。多くの大河ドラマでは、明智軍の襲撃を信長に最初に知らせるのは、森乱(森蘭丸とも表記される)だ。初の戦国大河ドラマ「太閤記」(65年)で、信長(高橋幸治)に「上様、光秀さまの謀反にござりまする」と報告したのは、團子にとって大先輩の片岡孝夫(現・人間国宝の15代目片岡仁左衛門)であった。他にも「秀吉」(96年)の松岡昌宏、「利家とまつ~加賀百万石物語~」(2002年)のウエンツ瑛士、「江~姫たちの戦国~」(11年)の瀬戸康史、「軍師官兵衛」(14年)の柿澤勇人など、幅広いジャンルで活躍する顔ぶれが揃うが、大河ドラマの主要キャストとして登場する森乱を歌舞伎俳優が演じるのは、実に61年ぶりとなる。


 森乱は、本能寺で信長とともに果てたとされるが、「豊臣兄弟!」では、「この展開があったか!」と驚くことも多い。謎も多い本能寺の変で森乱がどう動くのか。見逃せない。


(ペリー荻野/時代劇研究家)


編集部おすすめ