日本維新の会の悲願「大阪都構想」を前提とした「副首都」創設法案が22日、参院で審議入りした。“クセ強”な野党議員の追及に法案提出者の維新議員が満足に答えられず、改めて法案が生煮えで「大阪ありき」であることが浮き彫りになった。


 野党側の質問トップは立憲民主党の杉尾秀哉議員。法案は、大規模災害時に首都機能を代替するための「副首都」の設置を目的としたものだが、災害の被害想定の甘さを指摘した。副首都指定の要件として、政令に規定される災害が「首都直下地震」と「富士山噴火」の2つだけに限定され、「南海トラフ地震」が外れていることを問題視。


 南海トラフを震源とする巨大地震が30年以内に起きる確率は60~90%とされる。杉尾氏の質問に対応した内閣府の担当者によれば、大阪での被害推定は最大震度6強、津波5メートル、死者は約9900人に上るという。


 大阪に首都のバックアップ機能を持たせることに疑義がついたが、維新の岩谷良平衆院議員は「我が国に災害リスクが存在しない地域はなく、国土全体で災害が多い」と前置きした上で「南海トラフ地震をはじめ、特定の災害リスクをもって直ちに指定から除外するのは適切でない」と答弁。露骨な「大阪擁護」論を展開した。


 国民民主党の山田吉彦参院議員は、東海大海洋学部の教授を務めた海洋政策のプロの立場から、南海トラフ地震を要件から外したことに「国会が科学を無視して制度をつくっている」と猛批判。南海トラフ地震が起きた場合、日本の国際通信の9割以上を担う海底ケーブルが遮断されるリスクを指摘した。「カード決済もできず、経済が止まってしまう」と追及すると、維新の高見亮衆院議員は「ちょっとどうかなと……」と苦笑い。ケーブル遮断リスクを想定していないことを露呈した。


■来春の統一地方選に間に合わせたい


 “ヤメ維新”の国民民主・足立康史議員は、党が副首都の対案とする「特別市」構想を法案の検討条項に盛り込むよう要請。

岩谷氏に否定されると「(維新が)『特別市と言わないでくれ』と言うんですよ。府民に都構想以外の選択肢がバレちゃうから」と暴露した。


「法案が生煮えなのは当然です。維新は副首都法を今国会で早期に成立させ、来春の統一地方選と都構想の是非を問う住民投票の同日選を画策。機運を高めて都構想にこぎつけ、党勢回復を狙っている。そのためには法案が穴だらけでも早く成立させないといけない。焦っているのでしょう」(維新の内情に詳しい政界関係者)


 継続審議にして、イチからじっくりと練り直すべきだ。


  ◇  ◇  ◇


 与党が駆け足で成立を目指す「副首都」創設法案はツッコミどころが満載。関連記事【もっと読む】では“スジ悪”すぎる副首都法案のボロが露呈…国会審議で維新の「大阪ありき」に集中砲火と報じている。


編集部おすすめ