ビジネスでは「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」が大事と言われる。一方、高市政権が強行する「OTC類似薬の一部保険適用除外」は患者、医師、保険料にまったくメリットのない「三方悪し」だ。


 政府は来年3月から、保湿剤や抗アレルギー薬、解熱鎮痛剤など77成分・1042品目を対象に薬剤費の25%を「特別料金」と称して患者負担に上乗せする。厚労省の検討会が5日、中間とりまとめ案を了承した。


 問題は、特別料金を上乗せされない「配慮対象者」の範囲だ。とりまとめ案は、〈こども、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等〉を配慮対象に掲げる。


 慢性疾患を抱える人は当然、配慮されるのかと思いきや“落とし穴”がある。慢性疾患の患者でも配慮されない恐れがある。


 配慮基準のひとつが、対象医薬品の処方期間だ。医師が「通年で薬が必要」と判断した場合、特別料金は課されない。しかし、内服薬(頓服薬除く)の場合、1年間(52週)のうち0~9週以内の使用が約75%を占める一方、50週以上の使用は5.2%にとどまる。つまり、内服薬の通年処方はまれであり、そもそも配慮対象となるハードルが高いのだ。


「加えて外用薬は、保湿剤を除いて基本的に特別料金を課される仕組みになっています。例えば、アトピー患者が日常的に使用する保湿剤は『配慮対象』になっても、症状が悪化した場合に使うステロイド剤はその限りではない。

変形性関節症やリウマチなどの患者さんの中には、外用薬でやり過ごしている人もいます。しかし、難病に相当する慢性痛を抱えていても、外用薬を使っている患者さんは配慮の対象外。患者の実情を無視した極めて雑な線引きだと言わざるを得ません」(全国保険医団体連合会事務局次長・本並省吾氏)



メリットがなくミスのリスクも

 そもそも、病人から追加のカネを徴収しないことを「配慮」と言い換えていること自体、おかしな話。追加負担を強いられる患者にとってデメリットしかないのに、保険料の負担軽減効果は「年400円、1カ月30円」に過ぎない。


「医師にもメリットがありません。薬を処方する際に、患者が配慮対象か否かを確認する手間が増えます。配慮対象外の場合、患者に理由を説明するのも大変。日常診療で処方頻度の高い薬が一部保険適用除外になっているので、特別料金を取らなくてもいい患者さんから取ってしまうなど、ミスのリスクも高くなる。きちんと運用できるのか疑問です」(医療関係者)


 維新主導の“改革”のせいで、患者も医療現場も混乱必至。いい迷惑だ。


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