疑惑が拡大の一途だ。


 高額な海外視察費や、正副議長ポストを巡る金銭授受疑惑など「政治とカネ」の問題が続出している福岡県議会の自民党

目下、問題視されているのは、県議会の“ドン”といわれる蔵内勇夫議長の肝いり政策「ワンヘルス」なる施策だ。これは、人間と動物の健康、環境を一体的に考えるとの理念を基につくられた政策で、2021年に全国で初めて関連条例が福岡で施行され、高市政権の「骨太の方針」にも盛り込まれた。


 理念そのものの是非はともかく、問題視されているのは関連予算の高さだ。県のワンヘルス推進予算は5年間で約60億円、建設が進む研究拠点「ワンヘルスセンター」の整備コストは約200億円にも上る。さらに、完成済みの「ワンヘルス理念を象徴するオブジェ」の設置には約3億円もの費用がかかっている。


 常識外れの“蔵内案件”に、いよいよ服部誠太郎県知事が批判を展開。県が諮問する行政改革審議会の結論が出るまで「(ワンヘルス関連の)新規事業に着手しない」と、事実上の凍結を表明したのだ。「親密関係にある知事が蔵内さんを突き放すのは異例」(県政関係者)とみられている。


 一方の蔵内氏は「かつて服部知事が提唱されたワンヘルスのダボス会議を来年、世界のどこかで開催できるよう引き続き頑張ってまいります」とのコメントを公表。「アンタがワンヘルスを提唱したのに今さら反対するのか」と皮肉った格好だ。


 こうした地方議会の泥仕合が、ここへきて永田町に“飛び火”しつつある。福岡県議選を含め、来春の統一地方選の応援に駆り出されることになる自民党の若手議員が恐々としているという。



どうしても麻生太郎副総裁のカゲがチラつく

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。


「先日、自民党の1、2回生の若手の勉強会で話す機会があったのですが、彼らはかなり今回の問題を心配しています。2月の衆院選で、経験の浅い若手は地元の地方議員の手を借りて選挙を戦いました。その『恩返し』で、来春に多くの地方議会で実施される統一地方選で地方議員の選挙応援に汗をかくことになるわけですが、早速、地元で支援者から『福岡県議会の話はどうなっている』『うちの地元でこんなことはないだろうな』などと突き上げられている。だから、若手は『(蔵内氏の)身の引き方はどうなるんでしょう』などと不安を口にしています」


 次の県議選に出馬しないよう、党本部が蔵内氏に引導を渡せば若手議員の不安は払拭されるだろうが、そうもいかない事情があるようだ。


「福岡と言えば、麻生太郎・自民党副総裁の地元です。党本部が手を突っ込めば『蔵内憎しの麻生さんのご意向が働いた』と受け止められかねない。しかも、引導を渡すとすれば、党の実務を仕切る鈴木俊一幹事長が担うことになるわけですが、彼は麻生さんの側近中の側近。鈴木さんが動けば一層、麻生さんの存在がチラついてしまう。だから、党本部としては様子見するしかない。ただ、そうしているうちに『また政治とカネか』と批判が高まりかねない。対応のしようがないようです」(官邸事情通)


 カネの疑惑は自民党の“十八番”。

蔵内氏を切っても、同じような問題はなくならないだろう。


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