【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#115


『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』(1968年11月22日発売)⑮


  ◇  ◇  ◇


■『ロング・ロング・ロング』


 長い・長い・長い『ホワイト・アルバム』全曲批評も今回がラスト。読んでいただいた方も書いた私も、お疲れ・お疲れ・お疲れ。


 今回、まずはジョージ作品を2曲。LP時代のC面ラスト。大騒ぎの『ヘルター・スケルター』の後に置かれた3拍子の静かな曲。


 正直、何ということのない出来だが、試聴リンク再生時間「0:27」などで炸裂する、リンゴのど迫力ドラムスに聴き入る。


 また「2:32」からの凝ったエンディングは、楽曲の印象を不思議で不気味なものにする。


 このパートを聴くと私はいつも、子供の頃の肝試しを思い出す。


 タイトルの割には曲の尺は3分ちょっとと長くはない。ロング・ロング・ロングに長過ぎるのは『レボリューション9』の方だ。


■『サボイ・トラッフル』


 こちらもジョージ作。謎のタイトルはチョコレートの名前。チョコ好きの友人エリック・クラプトンがジョージの家に来たときに、チョコの箱詰めに書かれたチョコの名前を見て曲を作ったという。


 なので歌詞にはチョコの名前がずらっと並んでいる(一部架空のものもある)。

つまり言ってみればビートルズ版、かつチョコ版の『ヨーデル食べ放題』(1996年、桂雀三郎withまんぷくブラザーズ)だ。


 バックにずっと流れている強く歪ませた音のブラスセクションが、曲の顔になっている。【オリジナル記事で試聴する


 以上、CDディスク2収録、ジョージの2曲は、ディスク1のジョージ作品、『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』『ピッギーズ』と比べると、明らかに食い足りない(チョコだけに)。でも我慢。あの『サムシング』まであと1年。


■『グッド・ナイト』


 アルバムラストを飾るのはジョンの曲。息子のジュリアン(録音時点ですでにジョンと別居)に捧げたものだという。歌うはリンゴ。


 昨年発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー4』には、リンゴのバックで残り3人がコーラスを練習する、何ともほのぼのしたテイクが収録されているが、本チャンのバージョンにリンゴ以外のメンバーは参加せず。


 まるで映画音楽みたいに甘すぎるオーケストラが、曲の印象を曖昧にする。そんな曖昧な「読後感」でロング・ロング・ロングだった『ホワイト・アルバム』も終了。


 さぁ、いよいよ解散へのカウントダウンが始まる。

でも、傑作『アビイ・ロード』のその前に、アニメ映画のサントラから4曲ほど、ご紹介。ではお休みなさい。


▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。


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