フィリピン最大の石油精製・販売会社ペトロン(サンミゲル・コーポレーション傘下)が、ルソン島バターン州リマイの燃料ターミナルにおける大規模拡張計画を進めていることが判明した。中東情勢の悪化による原油供給不安を背景に、航空燃料の在庫不足を未然に防ぐ狙いがある。


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 危機的な在庫水準

 「ザ・フィリピン・スター」によれば、同社の航空燃料在庫は国内需要をわずか3.4日間支える規模にとどまり、極めて危機的な水準にある。バターン州のターミナルは全国の主要空港や地方ターミナルへ燃料を分配する中枢であり、在庫枯渇は航空便の全面停止と経済活動の麻痺を直結させる。

 拡張計画の内容

 ペトロンは環境天然資源省に拡張許可を申請済みで、実現すれば貯蔵容量は2075万リットルから3279万リットルへ約58%増加する見込みだ。中心となるのは容量2万5000バレルの航空燃料タンク1基の新設で、既存タンクの点検や修繕時に燃料を退避させる「スイングタンク」としても機能する。さらに、政府の環境規制に対応するため、ココナッツ由来のバイオディーゼル燃料(ココナッツ・メチル・エステル)用タンク3基も併設される。

 国家安全保障への直結

 「マニラ・スタンダード」によると、同社内部報告書は在庫不足の深刻さを指摘している。日量18万バレルの処理能力を持つバターン精製所は国内唯一の精製施設で、全国燃料需要の約3分の1を担う。機能維持と貯蔵力強化は一企業の利益を超え、国家安全保障に直結する。

 投資とスケジュール

 「ザ・マニラ・タイムズ」によれば、ペトロンは2026年3月に住民説明会を実施済みで、6月17日には公聴会を予定。着工は2026年後半から2027年第1四半期、完成は2028年初頭を見込む。投資額は未公表だが、すべて自己資金で賄う方針だ。

 国際情勢と防衛戦略

 同社は今年初め、ロシア産原油248万バレルを調達するなど供給源の多角化を進めてきた。
今回の航空燃料タンク新設もその延長線上にあり、ウクライナや中東情勢の混迷が続く中、輸入依存度の高いフィリピンにとって国内唯一の精製ハブ強化は「国家の生命線」を守る緊急策と位置付けられる。
【編集:Eula】
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