2026年6月8日朝、フィリピン南部ミンダナオ島を襲ったマグニチュード7.8の巨大地震から10日。ダバオ市中心部にそびえる37階建ての高級マンション「ビバルディ・レジデンシズ・ダバオ」は、市当局から立ち入り禁止を意味する「レッドタグ」を即日通告され、今も衝撃を広げ続けている。
2026年6月17日午前、編集部が撮影した現地写真は、地震直後の混乱が落ち着いた今、建物の内部で深刻な破壊が静かに進んでいる現実を示している。

その他の写真:2026年6月17日午前撮影 足場とブルーシートが設置されたビバルディ・レジデンシズ・ダバオ(Vivaldi Residences Davao)。地震後も交通が続く。

 地震翌日の6月9日には余震で建物上部の看板が崩れ落ちる事故が起きたが、6月17日の写真では柱や梁、バルコニーの接合部に深い亀裂が走り、外壁の広範囲で塗装やモルタルが剥がれ落ちている様子が確認できる。外壁の一部ではコンクリート表面が膨らみ、内部の鉄筋が錆びて膨張し、内側から押し出す「爆裂現象」が進行している可能性がある。爆裂は建物の強度を急速に失わせ、最終的には崩壊につながる危険な兆候であり、激震から日が経つほど建物の「死」が内側から進んでいることが分かる。さらに、このマンションには最上階にプールが設置されており、屋上構造が重く負荷が大きかったことも、地震による損傷を深刻化させた要因とみられる。

 外壁には金属製の足場とブルーシートが設置され、一見すると補強工事が進んでいるように見える。しかし実際には剥落を一時的に防ぐ程度で、抜本的な修復の見通しは立っていない。足場のすぐ前ではジプニー(公共交通機関)が通常通り走り、停留所も使われ続けている。飲食店の店内からも危険な外壁が見渡せるこの場所は、市民にとって「いつコンクリート片が落ちてくるか分からない」危険地帯となっている。地震直後に行われた道路封鎖や安全確保の措置は、時間の経過とともに形骸化している。


 購入者は突然住居を失い、残るのは巨額のローンだけという「資産価値ゼロ」の現実に直面している。行政は立ち入り禁止の判断こそ迅速だったが、開発業者への返金や経済的救済には踏み込めず、民事不介入の壁に阻まれている。周辺の安全管理も今では民間施工業者に任される状態となり、市民の不安は増すばかりだ。かつて「ミンダナオ島最高層」と誇られたこのタワーマンションは、今や都市開発の歪みと海外不動産投資の危うさを示す「巨大な墓標」として、ダバオの空に冷たく立ち続けている。
【編集:Eula】
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