世界最低水準の少子化に直面する韓国で、政府が「国家存続の危機」を掲げて推進する異次元の少子化対策が、本格的な成果を上げつつある。韓国の有力紙・朝鮮日報や東亜日報の報道によれば、2026年7月現在、尹錫悦政権が2024年夏以降に打ち出した「低出産非常事態」に基づく総合対策が完全に始動した。
従来の現金給付中心の単線的支援から、新婚夫婦や子育て世帯への破格の住宅支援制度、夫婦同時取得時の育児休業給付金大幅引き上げなど、若年層の生活基盤を直接支える多角的アプローチへと転換した。長期にわたり急落を続けてきた合計特殊出生率にも反転の兆しが見え始め、現場では社会的関心と政策進捗が最高潮に達している。

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 特に若者の間で大きな反響を呼んでいるのが、圧倒的規模で拡充された「新生児特例融資」をはじめとする住宅支援策である。ソウル首都圏を中心とする不動産価格の高騰は結婚や出産を躊躇させる最大要因とされてきた。これに対し政府は、過去2年以内に出産(妊娠を含む)した世帯を最優先対象とする低利住宅ローン制度を新設し、2026年までに世帯年収制限を2億ウォン(約2200万円)へ大幅緩和した。さらに、政府や自治体が買い取った賃貸住宅を新婚・子育て世帯向けに市場価格の3~4割という破格の安さで提供する「買入賃貸」プロジェクトの供給目標を6万戸規模へ拡大。仁川市など一部自治体では、新婚夫婦向けに「1日1ドル(約150ウォン)」程度で入居できる公共住宅を提供するなど、住宅コストによる出産の足かせを事実上取り除く措置が浸透している。
 
 もう一つの柱である育児休業給付金の拡充も、2026年に入り労働現場で急速に機能し始めた。韓国雇用労働省の発表によれば、生後18か月以内の子を持つ夫婦が同時または交代で育児休業を取得した場合、最初の6か月間に通常賃金の100%を全額保障する「6プラス6両親育児休業制度」が本格化した。給付上限額は毎月50万ウォンずつ引き上げられ、6か月目には1人あたり最大450万ウォンに達する。夫婦が制度を最大限活用すれば半年間で世帯合計最大4000万ウォン(約440万円)の受給が可能となる。さらに「1週間単位」での細分化取得を認め、対象年齢を12歳(小学6年生)まで拡大するなど、育児とキャリア両立を阻んできた職場文化を根本から変える法的後押しが進んでいる。


 こうした超大型の財政投入の背景には、2023年に合計特殊出生率が0.72にまで落ち込み、一時は0.6台突入すら予見された人口危機がある。関連予算は2023年の23兆5000億ウォンから2025年には28兆5000億ウォンへ膨張し、2026年度も過去最高を更新。政府内には「人口戦略企画部」が新設され、分散していた政策の一元化と予算集中配分が進められた。その結果、暫定値ベースで2024年・2025年と出生率が2年連続上昇し、2026年初頭には回復の兆しが見えるなど、長年の人口減少局面にようやく歯止めがかかりつつある。

 さらに、この危機感は民間企業にも波及している。ソウル拠点の大手ゲーム開発企業クラフトンや建設大手富栄グループでは、子ども1人の出産につき1億ウォン(約1100万円)の「異次元の出産祝金」を独自支給。社内保育園の夜間延長や、育休取得によるキャリア不利益を完全排除する代替要員確保システムなどが企業戦略として機能し始めている。経済低迷や格差社会といった構造的課題は残るものの、2026年7月現在の韓国社会は「子どもを持つことが世帯の損失にならない社会」へのパラダイム転換に向け、国と民間が総力を挙げて突き進む象徴的局面を迎えている。  
【編集:af】
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