インドネシアの観光地バリ島で長年懸案となっていたごみ問題の解決に向け、大型プロジェクトが始動した。政府系投資機関「ダナンタラ(Danantara)」が主導し、総投資額3兆ルピアに上る大規模ごみ発電(PSEL)プラントの起工式が2026年7月8日、バリ島南部デンパサール市ペドゥンガン村の約6ヘクタール敷地で挙行された。
人口密度が高く観光エリアに近いこの地域は、ごみ問題が特に深刻な場所であり、今回の施設はデンパサール市と隣接バドゥン県の廃棄物を広域的に処理する計画だ。稼働は2028年前半を予定し、最短で2027年末の完成を目指す。

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 運営主体はダナンタラ傘下の投資管理会社や廃棄物発電専門ホールディング会社などが組織する共同事業体「ヌサンタラ・バリ・ニュー・エナジー」。技術パートナーには中国の浙江偉明環境保護が参画する。アンタラ通信によれば、施設は1日あたり1500トン、年間50万トン以上のごみを処理可能で、バリ島全体の排出量の40%超を吸収できる見込みだ。

 背景には、既存の最終処分場スウン・ランドフィルが容量限界を超え、野ざらしや野焼きによる悪臭・環境汚染が観光地のイメージを損ねていた現状がある。ジャカルタ・ポストは、新施設が新規の生ごみだけでなく蓄積された埋立ごみも処理できる仕組みを採用し、温室効果ガス排出量を最大80%削減、年間約64万トンの二酸化炭素削減効果を見込むと報じた。処分場面積も80%縮小可能とされる。

 さらに、焼却熱を利用した発電により約10万世帯分の電力を供給できる。国営電力会社PLNとの間で全量買い取り契約が締結され、建設・運用を通じて約1200人の雇用創出も期待される。観光地であるバリ島に配慮し、臭気対策とクリーンな運営が最重要視されており、信頼性の高い「ストーカー式焼却炉」を採用。排ガス管理には欧州産業排出指令を適用し、多層型大気汚染制御システムで有害物質を徹底除去する。
ダナンタラCEOは「日本や中国の最新施設同様、バリの施設も清潔で無臭の象徴とする」と強調した。

 この急速な進展の背景には、プラボウォ政権による規制緩和がある。ジャカルタ・ポストによれば、過去11年以上にわたり複雑な許認可手続きが障害となり、ごみ発電計画はほぼ頓挫してきた。国内で稼働した施設はわずか1カ所のみだったが、プラボウォ大統領が2025年に大統領規則を制定しデレギュレーションを断行。バリ島計画は国家戦略プロジェクトに格上げされ、着工に至った。政府は今後、全国主要都市圏で同様の施設建設を進める方針で、バリ島はその第1号として試金石の役割を担う。周辺国のインフラ企業にとっても、この市場動向は重要な指標となる。
【編集:af】
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