フィリピン南部の都市ダバオにある大型会員制店舗S&Rのテレビ売り場では、韓国や欧州のメーカー製品が多くの台数を占めている。しかし、そのすべてのディスプレイの画面で一斉に放映されているのは、他でもない日本のシャープが制作したタイ王国の景観を捉えた高画質プロモーション用映像だ。
店舗の主客が他社製品に奪われている中でも、映像の美しさと訴求力においてこの日本企業の作品がいまだに圧倒的な存在感を放ち続けている。

その他の写真:フィリピン ダバオ S&R テレビコーナー

 この映像が世に送り出されたのは2013年から2014年頃、当時の最先端技術であった4K解像度の普及期にさかのぼる。制作にあたってはタイ国政府観光庁の全面的な協力のもと、首都バンコクのチャオプラヤ川沿いにそびえるワットアルンや、世界的に知られるワットポーの黄金の涅槃仏などが丹念に撮影された。現地の強い日差しを受けて輝く寺院の緻密な装飾や、夕暮れ時の空と川面の微妙な色の変化、さらには鮮やかな色彩を持つタイシルクや伝統的なフルーツカービングの細部までが余すところなく捉えられている。当時の最高峰シネマカメラを用いて撮影された映像は、液晶パネルの持つ色彩表現の限界やコントラストの性能を極限まで引き出すことに成功した。

 驚嘆すべきは、制作から10年以上が経過した2026年の現在に至るまで、この映像が色褪せることなく海外のテレビコーナーで利用されていることだ。ディスプレイの性能を評価するための基準映像として、これほどまでに普遍的な価値を持つ作品は類を見ない。特定の言語による解説を必要とせず、人間の目を一瞬で釘付けにする原色の鮮やかさと、細部まで妥協のない解像感が直感的に画質の良さを伝える。各社が新製品を競い合う世界の店頭において、日本のメーカーが過去に築き上げた技術的遺産が、今なおライバル製品の画面をも借りて圧倒的な美しさを証明し続けている事実には、映像制作における本質的な技術力の高さが如実に表れている。
【編集:Eula】
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