2026年9月1日。フィリピン中部セブ州に位置し、美しい海と高級リゾートで知られるマクタン島が、果てしない暗闇と水不足の恐怖に飲み込まれている。
観光客が笑顔で行き交うはずの南国の楽園で、いま何が起きているのか。その背後には、長引く電力危機という深刻極まる問題が横たわっていた。青い空と白い砂浜を求めて日本をはじめ世界中から訪れた旅行者たちも、エアコンが止まり、シャワーすら浴びられない過酷な現実に直面し、ただ言葉を失っている。(大型の自家発電装置を保有していない小規模宿泊施設の場合)

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現地有力紙サン・スター・セブ(SunStar Cebu)によれば、マクタン島を含むビサヤ地域一帯では連日のように「赤色警報」が発令されている。赤色警報とは、電力の予備が完全に底をつき、大規模停電がいつ発生してもおかしくない最も危険な状態を示す。9月1日も午後2時から午後9時までの7時間にわたり、電力を管理するフィリピン国家送電網(NGCP)がこの警報を出した。電気の供給を強制的に止める輪番停電が、いつ住民や観光客に襲いかかるか分からない綱渡りの日々が続いている。

さらにネットメディアのセブ・デイリー・ニュース(Cebu Daily News)は、この電力不足がいかに異常な長さになっているかを詳しく報じる。8月中旬の時点で、黄色警報と赤色警報が「73日連続」で発令されていたのだ。2ヶ月以上も電気の不安に怯える生活など、誰も経験したくないはずだ。この信じ難い事態の最大の原因は、巨大発電所の相次ぐ故障である。

今年5月以降、アボイティス・グループが運営する火力発電所で、電気を生み出す要となるメインタービンが故障。
さらに8月に入ると4つの発電所が突発停止し、別の15施設でも出力が大幅に低下した。これにより失われた電力量は合計806・4メガワット。数字だけでは実感しにくいが、大都市が一瞬で真っ暗になるほどの莫大な量だ。現在はミンダナオ島から昼夜合わせて最大450メガワット、ルソン島から250メガワットを融通してもらい、全体の電力が完全に途絶する最悪のブラックアウトだけは辛うじて回避している。

電気が止まれば経済へのダメージも甚大だ。マンダウエ商工会議所のバーバラ・ゴトン・タン会頭は、サン・スター・セブの取材に対し、いつ停電するか分からない状況が工場の機械を壊す危険を高め、余計なコストが膨らむと強い危機感を示す。自家発電設備を持たない小規模商店や一般家庭は、ただ電気が戻るのを待つしかない。さらに恐ろしいのは、停電で水を送るポンプも止まり、断水まで発生する「二重苦」に襲われていることだ。暑い南国で電気も水もない生活がどれほど過酷か、想像するだけで胸が痛む。

この地獄のような日々はいつ終わるのか。フィリピン・エネルギー省(DOE)とNGCPは正常化に向けた計画を示している。8月30日、長期修理中だった大型発電所の機械の1つがようやく復旧し、電力量はわずかに増えた。
しかし安心はできない。セブ・デイリー・ニュースによれば、電力が本格的に元通りになるのは、もう1つの大型機械が修理を終えて送電網に復帰する「9月11日」になる見通しだ。政府は念のため、今年中に50メガワット級の船型水上発電所をこの地域に投入する計画も進めている。
【編集:eula】
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