白い空間に青年と大きなぱんだがいて、とりとめのない会話を繰り広げている。シュールな世界観に思わずニヤニヤしてしまい、いつの間にか居心地が良くなっている。
ネットで生まれた大ヒットコミックを実写化した本作。俳優としてはもちろん、放送作家や、勝俣州和とのコンビ「K2」としても活動していた堀部圭亮が監督となり、あまりにもゆるく、フッと笑みをこぼしてしまう"不条理な笑い"を生み出していく。
青年役を演じるのは、大ヒットドラマの続編「VIVANT」で主演を務める堺雅人である。
本作のシリーズがDVDで発売された2007年、2008年は30代で、連続テレビ小説「オードリー」(2000年)や大河ドラマ「新選組!」(2004年)のキャストに名を連ね、2008年は大河ドラマ「篤姫」などに出演していたころだ。
©2007 やさぐれぱんだ飼育委員会
劇中では、ぱんだからの投げかけに受け身で応じるだけでなく、逆にツッコまれる場面も。一見アドリブのようだが、実はほぼ台本通りだそうで、役へのハマり方はもちろん、会話劇だけで魅せる堺雅人の凄みがあらためて伝わってくる。彼の人間味を感じるセリフ回しや間(ま)の取り方の原点が、この空間に凝縮されているのだ。
今や日本を代表する名優となった堺。どこにでもいそうで一癖ある「青年」を等身大で演じる姿は貴重といえる。
©2008 やさぐれぱんだ飼育委員会
一方、ぱんだの声を担当するのは、名バイプレイヤーの生瀬勝久だ。「ごくせん」シリーズや、世の中を席巻した「あなたの番です」など、数々の話題作でシリアスからコメディまで幅広く演じる彼が、本作では声のみの出演を果たしている。
そんな生瀬の巧みな声の芝居があるからこそ、堺のひょうひょうとした受け答えがより生きてくるのではないか。一見、かみ合わないようでいて、実は完璧に計算された2人のセッションは、いつまでも眺めたくなる心地よさである。
「やさぐれぱんだ」は、大きな事件が起こるわけでも、感動的なストーリーが展開されるわけでもない。ただただムダを楽しみ、青年とぱんだの心地よい時間を一緒に味わうだけ。それだけで、日々のあれこれがどうでもよくなるような...そんな究極に"贅沢な時間"が詰まっているのだ。一度ハマると抜け出せない、至高の脱力系作品がここにはある。
文=浜瀬将樹
放送情報
やさぐれぱんだ 白盤・黒盤・金盤・銀盤
放送日時:2026年7月19日(日)16:30~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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