橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(36歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライター、エッセイストとして活動中です。


 そんな宇野さんが30代女性として等身大の思い、ちょっとズッコケな日常をお届けするエッセイ連載。今回は「メンタルの飼いならし方」について綴ります(以下、宇野さんによる寄稿)。

今でこそ元気だけど…本質は落ち込みやすくネガティブ

登校拒否、高校中退…元『渡鬼』子役の私が陥っていた“絶望期”...の画像はこちら >>
 マルつけされたプリントに「はなまる」がついていると嬉しくなかったですか?

 それはきっと、今も同じはず。

 皆様、ごきげんよう、最近20年来の友人とさらに仲良くなりつつある宇野なおみです。体調を崩してのたうち回ったり、デカい落とし物を連発したりと、後厄にもほどがあるだろうという日々ですが、なんとか元気にくるくる回りながら生きております。

 今でこそ元気! やる気! 熟睡! メンタル強め! という感じのわたくしですが、実は昔は大変繊細でした。いえ、自認としては未だ傷つきやすいガラスハートですけれども、「お前のメンタルは極太」とよく言われるもので……。ごくぶと、て油性マジックじゃあるまいし。

 私の本質は落ち込みやすく、ネガティブ。昔はよく登校拒否をして、母と学校を困らせておりました。高校も中退者ですしね。

 今回は、落ち込みメンタルをどう「飼いならしているか」のお話です。

元子役の”全能感”から”絶望感”への悲しき転身

 昔むかし、幼きわたくしは、根拠のない全能感に満ちておりました。前回、子役デビューの話をしましたけれども、 芝居を始めたことでそれは顕著になりました。


 セリフも動きもすぐ覚えられる。理解力が高かったので 、修正にも対応しやすかったですし、空想の翼がばっさばさしていたので、アイデアもそこそこ試せます。

 おかげさまでのびのび過ごしていた子どもでした。子役時代のことを書くにあたって写真を掘り返したのですが、どれもこれも幸せいっぱい! という顔をしております。

 さて、そんなんを平成初期~中期の公立小学校に置いてみますと……どうにも馴染まない。

 団体行動を乱すタイプではないのですが、そもそも発想が人とずれているし、マイペース。学校になじみ切れないという、子役あるあるもしっかり経験しているんですよ。

 IKEAの家具を組み立てるとき、ネジのサイズが微妙に違うと穴もネジも痛むでしょう? あんな感じです。

 高学年になり、渡鬼の放送で出番が増えてきたころだったでしょうか、急に人の目が怖くなり、自己否定、絶望感のターンに入ります。

 おりしも周りは思春期の時期、「同年代より先に大人の世界に入ったものの、当人は本の虫」だった私は、学校という世界では微妙な異物だったのです。モンスターでもなければ、救世主でもヒロインでもない。

 今思うと、たいしたことじゃなかった。
自己研鑽のもと、性格や行動の改善を試みればよいものを、本来がめんどくさがり属ナマケモノ科。くじけて学校に行かなくなる、というサイクルをしばしば起こしていたわけです。

外に出さなければ自認はオスカルでも問題ない

登校拒否、高校中退…元『渡鬼』子役の私が陥っていた“絶望期”。フリーター生活で見つけた「自分にはなまるをあげる」生き方とは
吹っ切れだした2022年ごろ。別に自認オスカルではないです
 そんな「異物感」を抱えたまま大学生、20代、就職をしないまま留学し、帰国。フリーランスという名のフリーター生活を送る中、ふと、「あれ、周りの目ってそこまで気にしなくていいのか」と思うようになりました。

 もちろん、褒められたら、好かれたら嬉しいです。でも、無理はしょせん続かない。非人道的行為や、悪意ある行動をしない、善き人でいるように努めることはできても、人様の評価をどうこうはできない。

 仮に自認がお蝶夫人やオスカルだったとして、人に「わたくしのことはオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェだと思っていただき、そのように扱ってください」と強いることはできません。例えが古い……今で言えば何かしら、禰豆子?

 ただし己が己をどう思っていようと、自分以外の人にはまっっったくもって関係ありません。いじましさを表に出したり(自分の経験です)、卑屈になって他人に攻撃的になったり(自分の経験です・再)しなければ、自分のことを世界一嫌いだろうと、好きだろうと、オスカルだろうとサルバドール・ダリだろうと人様には関係ないわけです。

自分で自分を「はなまる」だと自認にしてあげればいい

 ……じゃあ、どんな自分にも「マル」をつけてやれば、毎日楽しく過ごせるのではないか?

 と、ある時にひらめきました。TBSで朝に放映していた「はなまるマーケット」という番組がとても好きだったことで思いついたことでした。何度か出させてもらった番組です。

 ちなみに好きなコンテンツ『アイドルマスター SideM』に登場する推しユニットのメンバーの兜大吾くんというキャラの口癖が「はなまる笑顔」であり、このメンタルを尊敬しているのもありました。


 とある年下の友人が、自分のできないことばかりあげつらっていた時に、「できたことにマルをつけてみては」とアドバイスをしたこともあります。

 子育てしながら、夫のサポートもし、パートに出て、家事もしている。彼女はとても頑張っているのに、もっともっとというプレッシャーをかけて、自分を追い込んでしまっていました。

 そこで、「ノートでも手帳でもいいから、はなまるをつけて寝てみたらどうか」と提案しました。朝起きてから、夜寝るまで、いろいろなことをしているはず。それがどんなにわずかなことでも、「今日の自分」に自分ではなまるをつけてあげる。

 友人からは後に、気持ちがずいぶん上向きになり、お医者さんにも良い方法だと褒められたと連絡をもらいました。

いつだって「めいっぱい」な自分にはなまるをつける

登校拒否、高校中退…元『渡鬼』子役の私が陥っていた“絶望期”。フリーター生活で見つけた「自分にはなまるをあげる」生き方とは
母親が入院後、『断捨離』テレビ番組に出演した時の予告
 人はその時その時の「めいっぱい」で生きています。例えば私は母が入院していた時、モノだらけで真っ暗な家で、ふさぎ込んで暮らしていましたが、その時の私はそれが「めいっぱい」だったのです。

「今日のわたしも、はなまる!」

 こう唱えてから寝ると、なんかちょっと笑顔になって眠れます。メモに書きつけるのも、 手帳にはなまるを書くだけでも、効果はばっちりですよ! なんなら私は全部やっています。

 大人になれば、誰かがつけてくれた花丸をもらう機会は極めて少なくなります。
じゃあ、しょうがない、自分でつけていきましょう!

 はなまるマーケットな人生になるように、過ごしていきたいものです。

<文/宇野なおみ>

【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中
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