どんぶらこっこ…60個ものブタの貯金箱がテキサス州の海岸に流れ着く

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 海は遠い、まだ見ぬ世界とつながっていて、どこか知らない場所から長い時間をかけて、奇妙な漂着物を運んでくる。

 流木やブイなら珍しくもないが、アメリカ・テキサス州の海岸で近年相次いで見つかっているのは、カラフルなブタの貯金箱だ。

 地元の海洋科学者は、このブタたちが、海洋ゴミがどれほど遠くまで運ばれるかを示す貴重な資料であるとしている。

 なお、貯金箱の中から現金が見つかったことは一度もないそうだ。

海岸に流れ着く色とりどりの貯金箱たち

 ピンクや青、黄色など、カラフルなプラスチック製のブタたち。テキサスの海岸で、メキシコ湾から流れ着いた60個もの貯金箱が発見された。

 海洋生物学者のジェイス・タネル氏は、長年にわたって沿岸地域一帯の海岸を歩き回り、海岸に打ち上げられた海洋ゴミを記録してきた。

 この調査の中で、彼は「想像しうるほぼすべてのもの」を見つけたと語っている。

ボトルに入った60個以上のメッセージや金庫、義足なんかも見つけましたよ。ボウリングのボールが3つに、キューバから漂着したボート、マストが立てられ帆も張られたままのヨットもありました

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 しかし最近になって、驚くべき数の新たなアイテムが現れ始めた。それはプラスチック製の、ブタの形の貯金箱だ。

 タネル氏によると、その数は少しずつ増え続けており、2026年になってすでに60個以上が発見されている。多い日には、1日に14個もの貯金箱を見つけたこともあるという。

 ブタの貯金箱が流れ着くエリアは、テキサス州南部~中部に位置する、メキシコ湾沿岸の複数のビーチに広がっている。

 これらの貯金箱は、どうやら複数の国から来ているらしい。

スペイン語の文字が記されているものが多く、最も一般的なのはドミニカ共和国製で、グアテマラ製のものもあったそうだ。

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海流に乗って旅するブタたち

 これらの貯金箱が、どのようにしてテキサスに到達したかについて、タネル氏は次のように語っている。

可能性のひとつは、海上輸送中に失われたコンテナです。毎年、数千個ものコンテナが海へ落下しているからです。

もうひとつの可能性は陸上で廃棄されたケースで、大量のプラスチックごみが川へ流れ込み、そのまま海へ運ばれたのかもしれません。

いったんメキシコ湾に入れば、あとは海流が運んでくれます。ループ海流と周辺の渦は、漂流物を長距離移動させた後、テキサスの海岸へ漂着させます。

多くの場合、季節的に漂着するサルガッサム(ホンダワラ類の海藻)とに混ざって流れ着くこともよくあります

 ここで言う「ループ海流」とは、カリブ海からユカタン海峡を抜けてメキシコ湾に流れ込み、U字型に大きく蛇行しながらフロリダ海峡へ抜ける強力な暖流のこと。

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 タネル氏は、穴が開いていないものについては、コンテナ輸送中の事故が原因かもしれないという。

 しかし、ほかの大部分のケースについては、もっと穏やかな原因があるのではないかと考えているそうだ。

こうした貯金箱は一度使われた後、本体にたくさん切れ込みが入っているのに気づくでしょう。

中のお金を取り出すには、それ以外の方法がないからです。その後は海に直接捨てられたり、陸上で捨てられたりします。



雨が降ると、これらはとても軽くなります。水に浮くんです。川などの水路に入り、そのまま海へ流れ出てループ海流に乗り、さらにその周辺の渦に巻き込まれながら、テキサス沿岸まで運ばれてくるのです

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ブタが教える、漂流する海洋ゴミ問題

 海岸での珍しい発見から始まったこの出来事は、科学者たちに、漂流ゴミがメキシコ湾をどれほど遠くまで移動するのかを垣間見せるものとなっている。

 ブタの貯金箱は、一見無害に見えるかもしれない。だが、その数が増え続けることは、より大きな問題をはらんでいる。

 海洋ゴミは容易に国境を越えてくる。主要な海流の経路に沿った位置にあるテキサス州は、メキシコ湾沿岸の他の州と比べ、10倍ものゴミが漂着するのだそうだ。

 カラフルで多種多様なブタたちは、毎週のように、潮が満ちるたびに、いろいろな場所からテキサス州に漂ってくる。

科学者らしく言うなら、どうやら何種類かの別の「種」がいるようですね。もしかするとメキシコ湾は、何か大きな買い物をするために、ブタ1匹ずつに貯金をしているのかもしれません

 タネルさんは冗談めかして話しているが、このブタたちは海の上を漂うプラスチックゴミが、どれほど遠くまで運ばれるかを示す証拠でもある。

 軽くて空洞のプラスチック製品は水に浮き、川から海へ出た後、海流に乗って遠く離れた海岸へ流れ着く。

 追跡や原因の究明が非常に難しいうえに、国境を越えて漂ってくるため、責任の所在もあいまいになりやすいのだ。

 どこで捨てられたのかわからないプラスチックゴミが、発生源が特定されないまま漂着する点が、海洋ゴミ問題の難しさを物語っていると言えるだろう。

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 なお、60個の貯金箱からは、これまで現金は1枚も見つかっていないという。だからといって、元の持ち主が捨てた時に中身が入っていなかったことにはならない。

(ブタの貯金箱の写真を)投稿するたびに、「中には何が入っていたの?お金は見つかった?」って聞かれるんです。

でも私はいつも「サンドダラー(sand dollars)ですよ」と答えています。中から見つかったのはそれだけですからね

 サンドダラーとは「砂のお金(ドル)」ではなく、タコノマクラの仲間のウニのこと。コインのような平べったい形をしているので、それに引っかけたジョークである。

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「ブタの貯金箱」の由来とは

 ところで、なんで貯金箱と言えばブタなんだろう? ちょっと調べてみたところでは、イギリスの職人さんの聞き間違いが発端らしい。

 昔のイギリスでは、赤っぽい粘土のことを「pygg(ピッグ)」と呼んでいた。ある職人が、このpyggで貯金箱を作ってほしいという注文を受けた際、発音が同じ「pig(ブタ)」と勘違いして、ブタの貯金箱を作ってしまったんだとか。

 できてみたら意外と可愛かったので人気が出て、以来定番になったというのである。もっとも、これはひとつの説であって、本当かどうかはわからない。

 もともとこの粘土で作った壺にコインを貯める習慣があったので、「pyggy bank(赤い粘土の銀行)」と呼んでいたのが、このpyggyが子ブタを意味するpiggyに似ていたために、ブタの貯金箱が作られるようになったという説もあるようだ。

 日本には昭和の初期に伝わって、三菱銀行で口座を開設すると、「ブーちゃん[https://x.com/Retrohayate/status/1716318687651876893?s=20]」というブタの貯金箱がもらえたことから広まったんだそうだ。

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 タネル氏は、もしも海岸でブタの貯金箱を見つけた場合、適切な方法で処分するか、あるいは記念品として持ち帰るよう勧めている。

 これまで見つかった貯金箱からは、現金は見つからなかったことを再度強調し、「宝探しを夢見るのはいいですが、期待し過ぎないように」とのことだ。

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References: Dozens of defective piggybanks wash ashore in Texas — and no one knows where they came from[https://nypost.com/2026/05/17/us-news/dozens-of-defective-piggybanks-wash-ashore-in-texas-and-no-one-knows-where-they-came-from/]

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