ハッブルが霧の中から光を発見、初期宇宙の銀河MXDFz4.4の紫外線だった
約124億年前の銀河MXDFz4.4 Image credit:NASA / ESA / Leah Hustak, STScI.

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 初期宇宙は、濃い霧のような水素ガスに閉ざされていたため光を遮り、はるか昔の銀河の姿を見ることはできないと考えられていた。

 ところがハッブル宇宙望遠鏡が、本来なら見えないはずの光をとらえた。

 STScI(宇宙望遠鏡科学研究所)の研究チームが確認したところ、それは約124億年前に存在した銀河MXDFz4.4が放った紫外線だった。

 天の川銀河の100分の1しかない小さな銀河が、若い星をものすごい勢いで生み出し、周囲の霧を突き破るほど強い光を届けていたのだ。 

 この研究は『The Astrophysical Journal[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ae75b0]』誌(2026年6月23日付)に掲載された。

初期宇宙は「霧」に閉ざされていた

 今から138億年前、宇宙はビッグバンとともに生まれた。

 誕生直後の宇宙は超高温で、電子と原子核がバラバラに飛び回るプラズマの状態にあった。やがて温度が下がると、電子と原子核が結びついて水素などの原子になり、光がまっすぐ進めるようになった。これは「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれている。

 だが、まだ星は生まれていない。宇宙は真っ暗な「暗黒時代」に入った。

 このころ宇宙空間には、電気を帯びていない水素のガスがぎっしりと詰まっていた。この水素は「中性水素」と呼ばれる。

 中性水素は、紫外線を通さない。そのため紫外線はまっすぐ進めず、宇宙空間は濃い霧に閉ざされたような状態にあった。

 ところが恒星が生まれると、状況が変わりはじめる。

 星が放つ強い紫外線が、中性水素にぶつかって電子をはぎ取り、電気を帯びた状態に変えていったのだ。電気を帯びた水素は紫外線を通す。こうして霧が晴れ、紫外線が遠くまで進めるようになっていった。

 この移り変わりは「宇宙の再電離[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%AE%E5%86%8D%E9%9B%BB%E9%9B%A2]」と呼ばれている。

 中性水素の霧をいったいどんな天体が晴らしたのか、それはどれほどのエネルギーを持っていたのか。この問いは、天文学における長年の謎として残されてきた。 

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見えるはずのない光をハッブル宇宙望遠鏡がとらえる

 その謎に迫る手がかりが、思いがけない形で見つかった。

 アメリカのSTScI(宇宙望遠鏡科学研究所)のイリアス・ゴーヴァールツ博士らの研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡が過去に撮影していた観測データを詳しく調べていた。

 すると、初期宇宙の霧をつらぬいて地球まで届いた光である紫外線が検出された。

 初期宇宙の霧はあまりに濃いため、紫外線はさえぎられて地球まで届かないと考えられてきた。

 霧を晴らす原因となった光を直接とらえることは、これまで不可能だとされてきたのだ。

 「このような銀河を観測することは不可能だと考えられていた」と、ゴーヴァールツ博士は語る。

 ところがハッブル宇宙望遠鏡は、40時間におよぶ長時間の露出で銀河のかすかな光を検出することに成功したのだ。

約124億年前の銀河MXDFz4.4からの紫外線だった

  研究チームは、さらに赤外線を観測するジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で、銀河の質量を求め、古い星を分析し、星形成の歴史を測定した。

 次にヨーロッパ南天天文台がチリに持つ超大型望遠鏡VLTが、赤方偏移を手掛かりに、この銀河がいつの時代のものかを確かめた。

 赤方偏移とは、遠くの天体から届く光の波長が、本来よりも長く引き伸ばされて観測される現象のことだ。

 宇宙は膨張を続けているため、遠い天体ほど速く遠ざかり、赤方偏移も大きくなる。

 これらの観測を重ね合わせた結果、光を放っていたのは、ビッグバンから約14億年後となる約124億年前の初期宇宙に存在した銀河MXDFz4.4であることがわかった。

 光の正体もはっきりした。MXDFz4.4が放っていたのは、水素を電離させるほど強い紫外線だった。紫外線は目に見えない光の一種だ。

 この紫外線が124億年をかけて地球へ向かうあいだに、宇宙の膨張で波長を引き伸ばされ、ハッブルに届くころには目に見える光へと姿を変えていた。

 初期宇宙の銀河はこれまでにも数多く見つかっているが、水素の霧をつらぬく紫外線が検出されたのは、これが初めてのことだ。

MXDFz4.4が霧を貫くほどの紫外線を放っていた理由

 MXDFz4.4は、私たちの天の川銀河とくらべて面積は100分の1ほどしかない。小さな銀河の中で、天の川銀河の10倍もの速さで新しい星が次々と生まれていた。

 こうして生まれた若く重い星は、とても高温で、強い紫外線を放つ。その星が狭い場所にぎゅうぎゅうに密集していた。

 若く高温の星が狭い場所に大量に集まると、周囲の濃いガスを吹き飛ばして光の通り道を開けることができる。

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 「若く高温で重い星が狭い場所にたくさんあると、不透明なガスをつらぬくのにより効果を発揮する」とゴーヴァールツ博士は説明する。

 光の通り道が広げられていた理由はもう1つある。

 若く重い星は数百万年ほどで寿命を終え、その多くが超新星爆発を起こす。

 この爆発が莫大なエネルギーを放って濃いガスに巨大な穴を開け、さらに多くの紫外線が外へ逃げ出せるようになる。

 研究チームによれば、この銀河が生み出した紫外線のうちの半分以上、多ければすべてが、こうして開いた通り道を通って銀河の外へ逃げ出していたと考えられている。

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References: DOI 10.3847/1538-4357/ae75b0[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ae75b0] / Hubble Details Early Galaxy Transforming Neighborhood - NASA Science[https://science.nasa.gov/missions/hubble/hubble-details-early-galaxy-transforming-neighborhood/]

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