ヒナの時から人に飼われ、人を親だと思っていたアヒルがアメリカ、ニューヨークの公園に置き去りにされた。
人懐っこいアヒルは、公園に来た人間に出会うとその後を必死についていく。
ところが、事情を知らない人々はアヒルに追いかけられたと思い逃げ出してしまうという悪循環を引き起こしていた。
そのことに気が付いた動物好きな公園利用者が野生動物保護団体に連絡し、アヒルを救助することに成功した。
このアヒルは生涯世話をしてくれる人間がいる施設に行き、同じように人間に育てられた別のアヒルと親交を深めている。
人間を親だと信じているアヒルが公園に捨てられる
2026年6月、アメリカのニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区にある都市公園のプロスペクト・パークにアヒルが置き去りにされた。
元の飼い主が、そのまま捨てて立ち去ったのだ。
たった一羽で公園に取り残されてしまった小さなアヒルは、自分を助けてくれる存在を探そうとして、公園内を行き交う通行人たちの後ろを必死になって追いかけた。
アヒルのヒナは生まれて間もない特定の時期に、最初に見た動くものを親だと認識し、記憶する「刷り込み(インプリンティング)」の習性を持っている。
一度刷り込まれた記憶は、後から修正したり消去したりするのが極めて困難なため、このアヒルは人間のことを親だと信じ、人間だけを頼りにして生きていた。
アヒルに追いかけられ逃げる公園利用者
だが事情を知らない人間にとっては、突然アヒルに追いかけられたらびっくりするだろう。
突然アヒルについてこられた人々は、驚いて逃げていく。
別にいじわるをしているわけではない。彼らはアヒルが、助けを求めているとは気が付かなかったのだ。
事情を理解した公園利用者が保護団体に連絡
だが、アヒルの様子がおかしいことに気づいた人もいた。
2人の動物好きな公園利用者が、野生鳥類救護団体「ワイルド・バード・ファンド(Wild Bird Fund)[https://www.facebook.com/WILDforProspectPark]」に連絡を入れてアヒルの危機的な状況を伝えた。
ワイルド・バード・ファンドは、すぐさま地元の動物救援団体「ゼイ・オール・ウォント・トゥ・リブ(They All Want To Live)[https://theyallwanttolive.org/]」に連絡し、アーツさんとサラさんが現場に向かった。
「電話を受けたとき、胸が締め付けられる思いでした。都市の公園にペットのアヒルが捨てられる事件は、あとを絶たないのです」とアーツさんは語る。
アーツさんたちが公園に到着したとき、アヒルは連絡を入れてくれた2人が用意した毛布の上で、安心して寄り添いながら丸くなっていた。
無事に救助されたアヒルのルディは生涯の家を見つける
アーツさんたちが保護したアヒルは、とても人間に慣れていたため、暴れることもなく、いとも簡単に抱き上げられ救助された。
アーツさんはアヒルの体力を回復させるために一度自宅へ連れ帰った。
その後、ニューヨーク州ポキプシーにある農場動物の保護・終生飼育を専門に行う非営利団体「セーフ・ヘイブン・ファーム・サンクチュアリ(Safe Haven Farm Sanctuary[https://safehavenfarmsanctuary.org/])の運営者に連絡したところ、行き場を失ったアヒルを生涯にわたって育てることを快諾してくれた。
そして正式にこのアヒルには、「ルディ」と名付けられた。
セーフ・ヘイブン・ファーム・サンクチュアリには、ルディと同じように人間に育てられた別のアヒルも暮らしている。
ルディはここで、人間たちから愛情をもらい、安心して過ごせる家で友人と共に生涯を過ごすことになった。
人間にヒナから育てられたアヒルは自力で生きることができない
ヒナの段階から人間に育てられたアヒルは、餌の取り方や外敵からの身の守り方といった生きていくための技術を親鳥から学ぶ機会がない。
そのため、人間の助けがない野生の環境では自力で生きていくことができない。
飼い主は「自然に返した」と思っているつもりかもしれないが、人間に依存してしまったアヒルにとっては、それはただ命を奪う危険な行為にしかならない。
アメリカでは愛らしいアヒルのヒナをペットとして飼育する家庭も増えている。
その一方で、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)などの報告によると、成長して世話が大変になると近くの公園へ安易に捨ててしまう無責任な飼い主の行動が大きな社会問題となっている。











