血を抜き取るだけならまだしも、強烈な痒みと腫れ、中には危険な感染症をも媒介する蚊は、できれば関わりたくない生き物だ。
蚊の退治法はいろいろあるが、フランスの企業が新たに開発したのは、小型ドローンが自ら超音波を放ち、跳ね返った反響から蚊を探し出し、体当たりで撃ち落とすという画期的なものだ。
カメラを使用することなしに、超音波の反響だけで正確に蚊の居場所を見つけ出すことが可能だという。
開発チームは初めて空中撃墜に成功した映像を公開した。ただしテストに使用されたのは蚊ではなく蛾だったが、正確にとらえ、一発で撃墜している。
蛾の空中撃墜テストに成功
フランスのスタートアップ企業「Tornyol」の創業者アレックス・トゥーサン氏が、開発中のドローンによる「初の空中撃墜」に成功したとする動画を投稿した。
動画には、白い小部屋に放たれた1匹の蛾を、小型ドローンが追いかけ、追跡の末に体当たりして粉砕する様子が映っている。
蚊より体が大きく飛び方もゆるやかな蛾は、空中撃墜を試す最初の標的に選ばれた。
試験の場は狭い室内だったが、飛んでいる蛾を機械が自力で見つけて空中で撃ち落としたことは、蚊を狙って撃墜するドローンの開発に向けた大きな一歩とされている。
超音波で蚊を探知し、体当たりで撃墜
Tornyolが開発しているのは、重さわずか40g、ゴルフボールほどの超小型ドローンだ。
通常のドローンにあるカメラは搭載されていない理由は、重すぎるうえに処理に大きな計算能力を必要とするため、超小型の機体には向かないことがわかったからだ。
薄暗い時間帯に飛ぶ蚊は、カメラでは暗い点と見分けがつきにくく、視覚に頼る方法では捉えづらいという弱点もあった。
そこでトゥーサン氏は、超音波で対象を探る仕組みを採用した。
ドローンは人間の耳には聞こえない超音波を発し、虫に当たって跳ね返ってくる反響を、機体に組み込んだ複数の小型マイクで聞き取る。
暗闇の中で超音波を出し、反響で獲物を捉えるコウモリと同じやり方だ。
反響に残る羽ばたきの違いで蚊を見分ける
ドローンは、蚊が出す音を聞いているのではなく、自分が発した超音波の反響を読み取っている。
飛んでいる虫の翅は、跳ね返る音の高さをわずかに変化させ、その変化の仕方が虫の種類によって異なる。
たとえばスズメバチは細長い翅をゆっくり動かすため羽ばたきが遅く、翅の短いショウジョウバエはそれより速く、蚊の羽ばたきはさらに速い。
トゥーサン氏は、反響に残る羽ばたきの違いから虫の種類を聞き分けるよう、ドローンのシステムを訓練した。
蚊と他の虫を正確に区別する力は、屋外に放たれたとき、花の受粉を助けるミツバチやチョウまで巻き添えにしないために欠かせない。
標的を蚊と見定めたドローンは、最大8m先の蚊に向かって高速で距離を詰め、4枚あるプロペラで接触して仕留める。
蚊による被害をなくすための新たな選択肢
Tornyolが蚊を撃墜するためのドローンを開発した理由は、蚊が媒介する黄熱・デング熱・ジカ熱・マラリアなどの感染症によって毎年多くの命が失われているからだ。
CDC(アメリカ疾病対策センター)は、2023年に蚊が媒介するマラリアによって83カ国で59万7000人が亡くなったと推計している。
子孫が繁殖できないように遺伝子組み替えした蚊を野生に放つという実験的取り組みも行われているが、トゥーサン氏は、ドローンで蚊を減らすことで、被害を食い止めようとしている。
1機で最大5エーカー(約2ヘクタール、サッカーコートおよそ3面分)の範囲を自律的に飛び回って見張り、バッテリーが切れると自分で基地に戻って充電する。
ただし現在ようやく蛾の撃墜に成功したばかりで、蚊を狙った撃墜テストや実用化はこれからだ。
飛べるのは1回あたり3分ほどで、そのあとの充電に最大30分かかるなど、越えるべき課題も残っている。
果たして小型ドローンが次々と蚊を撃墜していく未来が到来するのか?
蚊のプーンという羽音も嫌だけど、ドローンのギュイーンという大きい音もあまり耳障りが良くないのだが、その辺のところも調整されていくのかな。
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References: Tornyol — Mosquito killing micro-drone[https://tornyol.com/] / Mosquito-killing drone blasts bloodsuckers to bits | Popular Science[https://www.popsci.com/technology/mosquito-killing-dron/]











