白亜紀の3段階の食物連鎖が如実にわかる化石を発見
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 自然界の生物では、食べる・食べられるの関係が鎖のようにつながっている。白亜紀初期の先史時代の食物連鎖が如実にわかる化石がオーストラリアで発見された。

 1億年前の魚竜の化石には、翼竜を食べたことを示す胃の中身と、巨大な海洋爬虫類に噛み砕かれた跡が、どちらも残っていたのだ。

 これは、魚竜が翼竜を捕食した後、海洋爬虫類の餌食になったことを示している。

 ニューイングランド大学の研究チームによると、食物連鎖が3段階そろって化石になった例は、世界で初めてだという。

 この研究成果は 『Gondwana Research[https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1342937X26001656]』誌(2026年7月27日付)に掲載された。

巨大な魚竜の化石を発見

 オーストラリア東部クイーンズランド州のリッチモンドは、内陸にありながら海の生き物の化石がざくざく出てくる町だ。

 白亜紀のリッチモンド一帯は、大陸の内側を広く覆っていたエロマンガ海の底だった。

 2019年、化石探しを楽しんでいた4人のアマチュアが、この一帯で大量の骨を掘り当てた。

 知らせを受けた地元のクロノサウルス・コーナー博物館の学芸員ケビン・ピーターセン氏が現場に戻り、残りの骨を掘り出していった。

 博物館のスタッフとボランティアが600時間以上かけて岩を削り落とすと、体長6~7mの魚竜、プラティプテリギウス・アウストラリス(Platypterygius australis)が姿を現した。

 魚竜は恐竜時代の海に暮らした爬虫類で、姿はイルカそっくりだが、口先には鋭い歯がびっしり並んでいる。

 プラティプテリギウス・アウストラリスは、そのうちオーストラリア周辺の海にいた種類だ。

 魚竜のグループはジュラ紀に栄えたあと数を減らしていったが、この種類は白亜紀の海に生き残り、エロマンガ海でもっともよく見つかる魚竜として知られている。

 発掘された骨格の研究は、ニューイングランド大学の研究員マット・ホワイト博士が率いるチームが担うことになった。

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魚竜の化石に翼竜を捕食した痕跡

 プラティプテリギウスの骨を掘り進めると、頭骨のすぐ後ろから丸くて硬い岩のかたまりがいくつも出てきた。

 位置からして、胃の中身がそのまま化石になったものと考えられるが、中身を割って壊すことはできない。

 そこで、ホワイト博士は、オーストラリア原子力科学技術機構のジョセフ・ベビット博士と組み、中性子トモグラフィーで岩の内部を透視することにした。

 中性子を当てて立体的な画像をつくる技術で、標本を傷つけずに中身を見ることができる。

 画像に現れたのは、魚の骨、貝殻の破片、ベレムナイトと呼ばれるイカに似た生物の殻だった。

 魚竜の食事としては、ごく一般的だが、その中に空を飛ぶ翼竜の、下あごの骨が2片含まれていた。

 翼竜は魚をねらって海面近くに近づいたところ、水の中から突き上げてきた魚竜に捕食されたのだ。

 魚竜が翼竜を食べていた証拠が見つかったのは、これが初めてだった。

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さらに魚竜の化石には、巨大な海洋爬虫類に噛まれた跡も

 驚きはここで終わらなかった。魚竜自身の骨が何者かに襲われた壊れ方をしていたのだ。

 椎骨は割れ、肋骨は何本も失われ、多くの骨に押しつぶすような大きなかみ跡が残っていた。

 折れた椎骨の縁には、肋骨が食い込んだまま固まっている部分があった。

 死んだあとに流されて傷ついただけなら、肋骨が骨の割れ目にはまり込んだ状態で残ることはない。

 魚竜の体は、生きているうちに強い力であごに挟まれ、噛み砕かれたのだ。

 体長6~7mもある魚竜を丸ごと噛み砕ける相手が、エロマンガ海に何頭もいたわけではない。

 体長10mを超えるクロノサウルス・クイーンズランディクス(Kronosaurus queenslandicus)が最有力候補となった。

 クロノサウルスは首の短い首長竜の仲間で、ワニのような長い口に太い歯を並べ、4枚のヒレで泳ぐ当時の海の王者である。

 同じ時代の海生爬虫類で、これほど大きく頑丈な歯を持つものはほかに知られていない。

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3段階の食物連鎖が1つの化石に残るのは世界初

 1億年前のある日、魚を食べに水面に近づいた翼竜が魚竜に食べられ、その魚竜が海生爬虫類に捕食された。

 食物連鎖の3段が、胃の中身と骨のかみ跡という2つの証拠で1つの化石の中に収められていたのだ。

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 研究チームは、3つのグループの間の食物連鎖を示す初めての決定的な証拠であり、魚竜が翼竜あるいはその一部を食べた記録としても初めてのものだと結論づけている。

 研究に直接関わっていないマンチェスター大学の古生物学者ディーン・ロマックス氏も、三段階の捕食関係を示す例としてこれまででもっとも明快なもののひとつだと評価している。

 この化石は今、アマチュアたちがつけた呼び名にちなんでBOBと呼ばれ、クロノサウルス・コーナー博物館に収蔵されている。

 化石は1億年前の海の食卓を丸ごと閉じ込めたタイムカプセルだったのだ。

References: Fossil provides world-first evidence of ancient marine behaviour in Gondwana | ANSTO[https://www.ansto.gov.au/news/fossil-provides-world-first-evidence-of-ancient-marine-behaviour-gondwana]

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