西暦2世紀の古代ローマの都市を3Dバーチャルツアー体験
image credit:youtube

西暦2世紀の古代ローマの都市を3Dバーチャルツアー体験の画像はこちら >>

 もし紀元2世紀のローマの街を自由に飛べたら、どんな景色がみえるだろう。そんな想像ふくらむバーチャルツアーを企画したのは、70万人超のファンを持つユーチューバーだ。

 建築家で歴史家でもあるマヌエル・ブラーボ氏が、3Dモデルで再現した古代ローマの都市に私たちを招待してくれた。

 主な舞台は、神々を祀る丘として栄えたカピトリーノの丘や、政治や経済の中心地として人々でにぎわった広場ローマ・フォルムだ。

 今どきなドローン風の視点で楽しむツアーの動画は、再生数530万回を超えている。

ドローン風の視点で巡る古代ローマ

 国そのものが「屋根のない美術館」とも称されるイタリア。とりわけユネスコ世界遺産であるローマの歴史地区は、通りを歩くだけで古代の空気が感じられる。

[画像を見る]

 建築家で歴史家でもあるユーチューバー、マヌエル・ブラーボ氏は、この周辺の紀元2世紀ごろの景色を3Dモデルで再現し、バーチャルツアーの形で公開している。

[動画を見る]

 その映像は視点からしてひと味違う。ローマの街を徒歩で巡るようなものでなく、時代を一気にさかのぼり、しかも上空から全盛期の建物を巡るという斬新なものだ。

 ドローン撮影っぽいカメラワークで、当時どれほど高い身分であっても決して目にできなかったであろう鳥のような視点から、歴史ある街全体を見渡すことができる。

神々が集うカピトリーノの丘

 テヴェレ川のほとりにあるローマの街は、海から二万歩の距離にある。周辺は丘が多い地形で、城壁も七つの丘を囲む形で築かれた。ローマ建国は紀元前753年のことだ。

[画像を見る]

 ローマの七つの丘のうち、最も神聖とされたカピトリーノの丘の上には、多数の神殿があった。中でも有名なのがユピテル神殿だ。

[画像を見る]

 ユピテルはローマ神話における神々の王であり、妻のユーノー、知恵の女神ミネルウァとともに祀られていた。

造幣所を兼ねる神殿も

 丘の北側、城壁で堅固に囲まれた区画は「アルクス」と呼ばれる。その頂上にユーノーの名を冠したユーノー・モネタ神殿(Juno Moneta)があり、そこで貴金属から硬貨が鋳造されていた。

[画像を見る]

 モネタとは、ラテン語で「忠告する者」を意味する。現代英語にあるmoney(お金)やmint(造幣)の単語は、造幣所を兼ねていたこの神殿の名が由来ともいわれている。

 丘の麓には、タブラリウムという公文書や書簡を保管する巨大な建物があった。法律や公的な記録を刻んだ青銅板(タブラエ)を収めていたことからその名がついたという。

政治と経済の中心地フォロ・ロマーノ

 カピトリーノの丘とパラティーノの丘に挟まれた低地に広がるのが、フォロ・ロマーノ(ローマの公共広場)だ。

[画像を見る]

 フォロ・ロマーノという呼び名は現代のイタリア語読みだが、ラテン語読みではフォルム・ロマヌムとも呼ばれる。

 実はここには当初、大きな湖があったが、「クロアカ・マキシマ」と呼ばれる地下水路により、テヴェレ川へ湖水が排出されたのち、市街地として整備された。
 
 その跡地に作られたフォロ・ロマーノは多くの人が日々訪れる、ローマで最もにぎわう場所となり、周囲には数多くの公共建築や神殿が立ち並んだ。

公会堂や議事堂などの大型建築物

 その代表格が、バシリカ・アエミリアとバシリカ・ユリアだ。バシリカとは古代ローマの都市広場に建てられた大型建築で、公会堂とも称される。

[画像を見る]

 当初は商取引や裁判に利用されたが、のちにキリスト教徒が、この建築様式を礼拝に使うようになり、さらに帝国がキリスト教を国教とした後は、大規模あるいは重要な教会にもバシリカという名称が使われるようになった。

 フォロ・ロマーノの一角、コミティウムと呼ばれる区画には、元老院議事堂クリア・ユリアが建つ。

 元老院は600人の議員から構成され、カエサル(ガイウス・ユリウス・カエサル:紀元前100年 – 紀元前44年)が登場するまで、共和政ローマで最高の権力を持つ組織だった。

演壇ロストラとキケロの弁舌

 コミティウムの前には、演説者が民衆に語りかけるためのロストラ(演壇)があった。

[画像を見る]

 ロストラという名称は、捕獲した敵船の舳先(ロストルム、船の前に突き出た鉄製の武器部分)で装飾されていたことに由来する。

 共和政末期の政治家キケロをはじめ、名だたる弁論家たちが、ロストラに立ち、民衆に向け演説を行った。

大神官の邸宅レギア

 ロストラからフォロ・ロマーノの奥へと視線を移すと、レギアと呼ばれる建物が見えてくる。

[画像を見る]

 レギアは、共和政ローマ時代の最高神祇官(ポンティフェクス・マクシムス)の公邸として知られるが、もともとはローマ王の王宮だったという。

 最高神祇官は、ローマの神官団を統括する最高位の官職で、神々への供犠や祭儀を取り仕切る役割を担う。

 王政が終わり、共和政へ移った際、王が担っていた宗教上の権威と共にレギアも最高神祇官へ引き継がれたとされる。

悪名高い牢獄も今は観光地に

 フォロ・ロマーノ周辺には、華やかな神殿とは対照的な施設も残っている。

 ひときわ異彩を放つのが、「暗いうえに悪臭も漂う」場所として有名だった地下の牢獄トゥッリアヌムだ。

[画像を見る]

 ここは使徒ペトロとパウロが投獄されたとも伝えられ、中世以降はマメルティヌスの牢獄とも呼ばれるようになった。

 この牢獄は現在一部が一般公開されており、見学もできる。ただし入場は有料で、10ユーロ(約1,850円)が必要だ。

 失われた建造物まで再現したブラーボ氏の映像は、古代ローマの日常をグンと身近にしてくれる。

今回紹介したのは一部だ。あとは動画でじっくり見てほしい。

 なおブラーボ氏によると、建物の復元には、コインの図柄や古代ローマの建築家ウィトルウィウスの本が参考になったそう。これぐらい気の利いた動画が学生の頃にあったなら、歴史の授業も段違いに楽しかったかもしれないな。

Amazon : Lynkaye 60ピース 中世兵士 ミリタリーフィギュア おもちゃ 古代ローマ兵 フィギュア 中世 陸軍 歩兵 射手戦士モデル

References: What Did Ancient Rome Look Like? A 3D Virtual Tour of the City During the Second Century AD[https://www.openculture.com/2026/08/what-did-ancient-rome-look-like.html]

編集部おすすめ