施工管理技士の羽海は、憧れの天才建築家・廣瀬奏音の案件を担当することに。しかし奏音の本性は超ドSで、初回ミーティングから振り回されっぱなし。

嫌味にムカつきながらも、仕事への情熱やふと見せる優しさに思わず胸が高鳴る。天才イケメン建築家と今どきガールの羽海が、それぞれの夢を追いながらぶつかり合い惹かれ合う、建築お仕事ラブが始まる。

これを読めば街の見え方が変わるかも!?

世の中にあるたくさんの仕事を知るうえで大きな助けになるのが、ドラマ、そして漫画の「職業モノ」。未知の仕事について、その概要から働く人たちの想いまで描かれており、時には登場人物に感情移入したり専門知識など新たな発見もあったりと、得るものが大きいジャンルです。

本作が取り上げるのは、タイトルにある通り「セコカン」、すなわち建設工事における施工管理のお仕事。5年目の施工管理技士・本田羽海(ほんだうみ)を主人公に、イケメン&嫌味な天才建築家・廣瀬奏音(ひろせかのん)とのラブな予感を交えながら、施工管理の現場や建設業界を描いていきます。

『セコカン!』が描く建設現場の熱量と難しさ

施工管理とは、建設工事がスムーズに進むよう、その工程や安全、品質、原価など工事全体を管理する仕事。世に名前が出る設計士や建築士、あるいは実際に工事現場で働く職人たちと違い、一般的にはあまり馴染みのある職業ではないので、興味津々です。圧倒的な男性社会、そして工事前の現地調査や書類対応も含む地味な作業までカバーする、社会人5年目の羽海には忍耐力が求められるハードな現場と言えそう。

この施工管理という仕事の難しさを表す、雨にまつわるエピソードがとても印象的です。先輩の施工管理技士から、「雨予報じゃなくてもコンクリートの養生をしたほうがいい」と助言された羽海は、ベテラン職人に進言。ところが「必要ねぇだろ」と一蹴されてしまいます。
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職人に強く否定され、引き下がる羽海。雨予報じゃないから大丈夫……だったはずが、こんな時に限って、まさかの雨。
羽海は慌てて現場に戻り、コンクリートにシートを被せます。雨の状況を確かめるべく様子を見に来た建築家の廣瀬も、ひとり悪戦苦闘する羽海を見かねて、共同作業。
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しかし、残念ながら時すでに遅し。
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決して致命的ではないけれど、雨がもたらす被害は無視できない。スケジュールや予算、そして現場の空気。様々なことに影響を及ぼすのです。一方で、今回の責任問題において、養生の提案を拒否した職人が自らの非を認め、謝罪する描写もあります。主人公の痛快な活躍がウリの物語であれば、誤解がとけて良かった!となるかもしれませんが、本作ではそうはならない。工期に間に合わせるため、一所懸命作業してくれた職人たちの仕事が台無しになってしまったことに変わりはない。責任をもって粘り強く進言していれば、という悔いが刻まれる、まさに施工管理という仕事の難しさを突き付けられるシーンです。

反発、理解、そして……ラブ!? 若手女性技士と天才イケメン建築家の恋の行方

施工管理という仕事の一端を描く序盤、もうひとつの物語が並走します。それは、羽海とイケメン天才建築家・廣瀬の関係。「初回ミーティングから印象は最悪」という羽海のモノローグがしっかりとフラグになり、ふたりの距離は仕事を通じて変化していきます。
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めちゃくちゃ嫌味で偉そうだけど、そのこだわりや仕事のクオリティは、さすが「天才」と呼ばれるだけはある。羽海も、性格はともかく、建築家としての廣瀬を認めてはいる――そんなスタートライン。

先ほど触れた、雨中でのコンクリート養生事件では、羽海と共に作業を行い、彼女に寄り添うナイスガイな一面も持つ廣瀬は、結局工期が延びてしまい、打ちひしがれる羽海に対して、こんな振る舞いも。
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この対応に羽海が「意外」「怒ってるかもって思ってた」と廣瀬に告げると、返ってきたのはこの表情。
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羽海はまだうっすらとしか自覚はしていませんが、確実に恋心が鼓動を始めてます。天才と呼ばれながら、人知れず苦労もしている。そんな彼に親近感も覚えつつ、一つひとつエピソードを重ねながら、ふたりの関係性は変化していく。立場は違えど、同じ現場に携わる中で生まれるラブの行方にも大注目です。

一歩間違えれば命取り! 人命・人生に関わることの重圧も描く

建設現場において、どうしても避けて通れないのは、「危険」、つまり命のリスクです。高所での作業による転落や建材の落下など、危険はあちこちに潜んでいます。本作では、そういったリスクに対して緩い認識で作業する鳶職(とびしょく)見習いの若手に、ベテラン職人がその甘さを激しく叱責する場面も。やたらとハラスメントにしたがる風潮もあってか、「仲間も大事にしろ」と大先輩にため口で反論する見習い若手。令和です。


いくら注意でも言い方がある、と現場の士気を下げるようなベテラン職人の対応に納得できない羽海ですが、それを聞いた廣瀬はキツイ、けれど本質を突いた言葉を投げかけます。
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ベテラン職人が現場の人間関係を壊しかねないほど怒るのはなぜなのか。その理由とともに、施工管理においては安全管理も重要であることが描かれたエピソードとなっています。

街を歩けば、あちらに新築一軒家、こちらに新築マンション、むこうには新規出店するスーパーマーケット……といった具合に新しい建物が増えていく、そんな景色に出くわすこともあるでしょう。これまではなんとなく通り過ぎていたけれど、本作を読むとその景色も見え方が変わってくるかもしれません。建設はただでさえ危険を伴う仕事。そしてゲリラ豪雨や線状降水帯といったワードが一般的になった今、建設現場で働く人、施工管理をする人たちの苦労に想いを馳せてしまう――。

「ご安全に」を合言葉に、建設現場に関わる全ての人にリスペクトを。そして羽海を待ち受ける様々な難題や技士としての成長、廣瀬との関係がどう進展していくのかなど、本作における作者・シェリーリリーの“施工管理”にも期待大です!
超ドSな天才建築家×今どきガールな施工管理技士の建築お仕事ラブ!『セコカン!』

セコカン!(1)

著 : シェリーリリー

オンライン書店で探す 試し読みをする 施工管理技士の本田羽海は今をときめく天才イケメン建築家・廣瀬奏音が手掛ける案件を担当することに。心躍らせる羽海だったが、奏音の素顔は超ドSで初回のミーティングから振り回されまくり! 嫌味を言われるたびに超ムカつくけれど、仕事に対する姿勢やたまに見せる優しさにキュンとしちゃったり!? 天才イケメン建築家×今どきガールな施工管理技士、それぞれの夢を目指して奮闘する姿を描く、建築お仕事ラブ開幕! 詳細を見る 既刊・関連作品

レビュアー

超ドSな天才建築家×今どきガールな施工管理技士の建築お仕事ラブ!『セコカン!』

ほしのん

中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。

X(旧twitter):@hoshino2009

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