1895年創業の「力餅食堂」。丼・麺類・おはぎが名物の大衆食堂です。
大阪を中心に約40店を展開していますが、統一メニューは1つもなし。それぞれの店が独自の進化を遂げています。
のれんの向こう側に隠された130年愛され続ける「力餅食堂」。その秘密を調査しました。
「ここに通って20年」メニュー豊富な大阪の大衆食堂
大阪・門真市にある「力餅食堂 ようこそようこそ古川橋店」。杵をクロスさせたマークが店のシンボルです。
(客)
「最高においしい。ここに通って20年になる」
「ものすごくおいしい。ボリュームもあってすごくおなかいっぱいなる」
「ビール昼から飲んでいる。味が家庭向き」
豊富なメニューが自慢の大衆食堂で、おもちが3つ入った「力餅うどん」や、天ぷらの盛り合わせと暑い日に食べたくなる冷たいそばの「天ぷらざる」。丼ものや定食など、通うたびに食べたいメニューが見つかります。
名物「意味わからんカレーう丼」その正体は?
名物は「意味わからんカレーう丼」。
甘めのカレーに絡んだうどんを食べ終えると、器の底からたっぷり出汁を吸い込んだごはんが。
カレーうどんなのか、カレー丼なのか…「意味わからん」と突っ込んでほしいオリジナルメニューだということです。
(力餅食堂 ようこそようこそ古川橋店 佐田薫さん)
「ひらめいたことを商品にしていこうかなと。1回食べた人は必ず次も来て食べられます。1回食べてもらうまでが勝負ですね。なかなかだけど『何これは?』と言って」
程良い甘さの手作り「おはぎ」目当てに訪れる人も
さらに、「力餅食堂」の名物と言えば手作りの「おはぎ」。つぶあんは北海道産小豆を使った自家製で、程良い甘さが口いっぱいに広がります。
(客)
「おいしい。常連です。ジムの帰りに寄ってタンパク質補給するのにいいかな」
きなこのおはぎは、中にたっぷりと餡が。きなこの香ばしさが甘さを引き立てます。
130年以上の歴史も…統一のメニューや値段の決まりはない!?
130年以上の歴史を誇る「力餅食堂」。大阪を中心に下町の商店街や住宅街に店を広げています。
それぞれの店先には「力餅」のシンボルマークが掲げられていて、丼もの・麺類・おはぎが名物といったイメージが強いですが、実は統一のメニューや値段の決まりもありません。
一般的なチェーン店でもフランチャイズでもない、「力餅食堂」とは…?
“のれん分け”で拡大!最盛期には約180店舗を展開
(佐田薫さん)
「池口力造さんが始められて、“のれん分け”でどんどん広がっていった」
店舗拡大は今では珍しい“のれん分け”。現在の豊岡市出身の創業者である池口力造さんが1895年に京都で饅頭店を開き大成功したのが始まりです。
のれん分けで独立した多くの店主は創業者と同じ但馬地方出身。
最盛期の80年代には、約180店舗を数える一大ネットワークを築きました。同じ故郷を持つ店主同士深い絆で結ばれ、慰安旅行や宴会なども盛んに行われてきました。
(佐田薫さん)
「(親睦を深めるために)妻ばかり集まって食事したり、店主ばかりで集まって食事したり、高度成長期の時はどんどん成長し、どこに店を出してもすごく流行った」
古川橋店は「お酒に合う一品料理」で差別化
古川橋店は、佐田さんの父親が開業。独立後はロイヤリティーもない完全な個人経営の店に。「力餅食堂」の看板を掲げつつ、独自のメニューや値段設定で個性を打ち出しています。
父親のもとで腕を磨き、跡を継いだ佐田さんは、うどん店には珍しい「お酒に合う一品料理」を多数提供して他店と差別化。おしゃれにワインも置いていて、飲んだあとに“うどんで締める”こともできます。
―――店によって味もメニューも違う?
(佐田薫さん)「違いますね。情報交換をしながら、一軒一軒自分で決めてチョイスしていく」
「力餅食堂」内でお見合い結婚 中崎店は夫婦で営む繁盛店
大阪・梅田エリアの東側に位置する天五中崎通商店街にある「力餅食堂」。お昼どきは地元の常連客やサラリーマンで賑わう繁盛店です。
自家製麺のうどんは一杯450円。手作りのおはぎは1個130円など、物価高でもお財布に優しい値段です。
(客)
「子どものころから大好き。
店を営むのは尾上さん夫妻。2人とも但馬地方の出身です。店主の保和さんは兄の店で10年以上住み込みで修業。別の「力餅食堂」で働いていた英子さんとお見合いで結婚して中崎町に店を出しました。
当時、杵のマークは長年培われた信頼で抜群の集客力を持っていたそうです。
(力餅食堂 中崎店 尾上保和さん)
「(独立して)店出すの大変。借金せなあきませんやろ。1000万ぐらいかな、50年前で。うちら成功した方やから。100年昔からの味やと思うけど、ずっと守っています」
(尾上英子さん)
「安くておいしくなかったら売れない」
ユニークメニューを次々開発!麺にカレー粉練りこんだ「カレー皿うどん」も
独立から約50年。尾上さんはアイデア勝負でユニークメニューを次々と開発しています。その1つが、生たまごがのったスパイシーなカレー皿うどん。うどんの麺にもカレー粉を練りこんだ自家製麺です。
(客)
「おいしいよ。ビールに合うね」
「普通の麺と違って(カレー粉を)練りこんでいるので濃厚な感じでおいしい」
さらに、タイガースファンに人気のメニューも。カレー粉を練りこんだ黄金色の麺と、コーヒーを練り込んだ麺が交互に並ぶ「虎ざる」です。
(客)
「おいしいです。カレーはすごく濃い味がしますね。苦味はコーヒーの豆の味が染みている。こういうのはここしかない。タイガースファンでもあるし」
商品名は商標を取得。並々ならぬ力の入れようです。
(尾上保和さん)「店の特長をつくろうかなあと思って。うどんと丼では生き残れない」
モーニング・ランチ・カフェ 3つの顔を持つ新形態の「力餅」
一方、「力餅食堂」にも時代の波が押し寄せています。店主も客も高齢化。後継者がおらず、惜しまれつつ暖簾を下ろす店も少なくありません。
そんな中、新形態の「力餅」が姫路市にありました。おなじみの杵のマークがあるれっきとした「力餅」ですが、昭和の大衆食堂の雰囲気とは全く違う、明るくカジュアルなうどん店です。
(客)
「おはぎもおいしいので、おはぎとおもちのうどんをいつも食べていますね」
厨房では慌ただしく調理。肉うどんも人気メニューのひとつです。昼の営業が終わると…
(堤美智留さん)
「うちはうどん店なんですけれども、今の時間からはカフェに変わる。朝8時からはモーニング、11時半からはお昼のうどん、午後2時からカフェになります」
店名は「ちからCafe」。朝・昼・午後と時間帯で業態が変わります。
名物のおはぎはコーヒーと一緒に。手作りケーキとアイス、ミニおはぎがのった和洋折衷のスイーツも。
(客)
「うどん屋さんっていう感じじゃないですよね。おしゃれな喫茶店、カフェですね。新しいですよね」
「意外ですよね。
「DNAを残せていけたら」店のイメージ変わっても…伝統を礎に進化続ける
カフェスタイルに店を変えたのは店主の堤美智留さん。元々はパート従業員でしたが、高齢で店に立てなくなった先代からの信用と、周囲の応援を受けて店を任されました。
しかし、高齢化などで客が減少していたという課題も。新しい層を獲得するためガラリと店のイメージを変えたのです。
(ちからCafe 堤美智留さん)
「扉の黄色とか『雰囲気で入ってきたよ』という方が多くなっていますね。昔ながらのつくり方なので、新しい形態になっても(力餅の)DNAとしてずっと残していけたらなと思います」
時代やニーズに合わせて変わりゆく「力餅食堂」。これからも130年の伝統を礎に進化を続けます。
(2026年6月25日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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