スーパーでのコメの販売価格は2024年8月から右肩上がりとなり家計を圧迫するなど“令和のコメ騒動”と呼ばれました。
コメ不足を理由に政府はこれまでの減反から増産へと指示しましたが、翻弄されるコメ農家の実情と未来を取材しました。
(MBSテレビ「ガチの門」2025年8月24日の放送内容を記事化しています)
日本一の米どころ 新潟で50年近く米を作り続ける農家
日本一のコメの生産量を誇る新潟県。山々に囲まれた魚沼盆地では、豊富な雪解け水が田んぼを潤しています。
(関隆さん)「魚沼でも一番早いコシヒカリが穂を出した。あと40日ぐらいで稲刈りが始まる」
ここで、50年近くコメを作り続けてきた関隆さん(73)。73歳になった今も毎日田んぼに出て米作りに励んでいます。
体力には自信がある20代の記者が米作りを体験するも…?
そんな関さんに協力してもらい、記者が米作りの一端を体験させてもらいました。まずは肥料まき。肥料をまく機械を背負いますが。
(従業員)「総重量で40キロあるかな」
(MBS河野知佳記者)「40キロ!?」
大学時代はラクロス部、体力には自信がある20代の記者ですが。
(従業員)「あぜの上に立ってもらって」
(MBS河野知佳記者)「あぜの上…もう足…重い…。きつい…。しんどい、しんどい!腕上げらへん」
田んぼを1往復しただけで…
(MBS河野知佳記者)「これはちょっと…だめですね、下していいですか」
(関隆さん)「これを年寄り農家にやれって言ったって、相当無理だろ?」
(MBS河野知佳記者)「無理ですね…」
(関隆さん)「だから(田んぼの)管理がうまくいかねぇんだよ」
初めて田んぼの一部を手放す決断…
炎天下での重労働が連日続くコメ作り。やめた農家から田んぼを引き継いで面積を拡大してきた関さんですが、今年、ついに「ある決断」をしました。
(関隆さん)「これヒエ、雑草。(Q全部、雑草?)うん、雑草だらけ。
初めて、田んぼの一部を手放すことにしたのです。
(関隆さん)「少なくとも10年前はここをやめる、ここを手放すなんて夢にも考えなかった。それだけ時代が変わったんだ。これ以上農家の数が減れば、耕作放棄地がどんどん増えてく」
「高齢化」「稼げない」で限界を迎え辞めるコメ農家も
農水省によるとコメ農家の平均年齢は68.9歳と高齢化が進んでいて過去10年で6万4000ヘクタール、実に甲子園球場約1万6600個分もの田んぼが放棄され荒廃してしまったのです。
「限界」を迎え始めている農家。実際に年齢を理由に辞める農家も。
(南魚沼市の農家(76))「70歳を過ぎてからやっていけない。歳とって老化して身体が言うこときかんくなったのが一番切ないね」
農家を辞める理由は年齢だけではありません。稼げていないのです。コメを作って得られる収入は、経費を差し引くと年間わずか90万円ほどだといいます。
(南魚沼市の農家(76))「昔は小さい農家がポツポツやってたんだけど、採算が取れなくなってきて、もうでっかいとこに任せないと効率が悪い」
「高齢化」と「小規模」という課題解決に挑戦する農家
日本のコメ農家がかかえる「高齢化」と「小規模」という課題。その課題の解決に挑戦する農家がいます。
(立柳慎光さん)「ここ5枚上まで全てうちで管理しているほ場になります。
岩手県で8代続くコメ農家、立柳慎光さん(46)。管理する田んぼは甲子園球場約15個分。その約8割が辞めた農家から引き継いだ田んぼです。
この広さの田んぼをたった5人で管理しています。それを可能にしているのが、「ドローン」です。
田んぼ全体に農薬や肥料を撒くというコメ作りで最も体力を使う作業の一つをドローンが担っています。
(立柳慎光さん)「これで270万円くらい。膨大な機械投資になるんですけど、それがあるのとないのとで身体にかかる負担だったり、面積が増えていったときの作業能率を考えるとやっぱり必要かなって」
AIやドローンを駆使し『かっこよく、きれいに、儲かる農業』へ
さらに、AIなどで田んぼごとの生育状況を確認。肥料を撒くタイミングや量を決めています。
(立柳慎光さん)「生育や地力の高い・低いをマップ表示できる。青(緑)に近づくにつれて、生育いいよ、高いよって」
立柳さんには理想の「新たなコメ農家像」が見えています。
(立柳慎光さん)「親父たちがやってきた農業の姿をみて『辛い、汚い、金にならない』っていったイメージ。それを次の世代の子どもたちには見せたくないなって想いがあって、『かっこよく、きれいに、儲かる農業』にしよう。
田植えの必要がない新品種を開発 人件費も減少
一方、北海道・旭川市。北の大地では田植えの必要がないコメの品種が新たに開発されていました。
(市川範之さん)「『さんさんまる』っていう品種で、直播に特化した品種ですね。すごく品質が高くて美味しいお米」
市川範之さん(51)が国の研究機関と協力して開発した新品種「さんさんまる」。この品種に田植えは必要ありません。水をひいた田んぼにドローンで、直接種をまきます。
(市川範之さん)「田植え機がまず必要ありませんよね。ドローンを飛ばすだけで、人員は2人だけでできますので、それで人件費も減らせます」
“コメ農家も時代に応じて省力化する必要があり”
開発したのはコメだけではありません。
(市川範之さん)「『スマート高窒素』っていう肥料。これは通常の肥料の約3倍の窒素成分がありまして、的確にドローンだとまける」
トラクターなどと比べて、ドローンは積める肥料が少ないとデメリットを感じていた市川さん。
地元の企業と研究を重ね、3年の歳月をかけて通常の3倍濃度が高い肥料、「究極の省力化」を実現したのです。
今では、利益率が約40%にのぼるといいます。
(市川範之さん)「いま何でも物価が高騰したり人もだんだん集まらなくなってきているので、省力化する必要がありますよね。
(2025年8月24日放送 MBSテレビ「今田・橋下とニュースショー ガチの門!!~不条理のシンソウSP~ 」より)

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