選挙に関する偽情報の拡散や誹謗(ひぼう)中傷を防止するための交流サイト(SNS)対策に向けた関連法改正案が衆院本会議で賛成多数で可決された。今国会で成立する見通しだ。
施行日は来年3月1日としており、来春の統一地方選での適用を目指す。
 改正するのは公職選挙法と情報流通プラットフォーム対処法で、SNS事業者に虚偽情報による悪影響を軽減する措置を義務付ける。
 具体的には総務相の指針の下、投稿者に報酬を支払う「収益化」の停止や公式サイトなど信頼できる情報の優先表示、利用者への警告表示などの例示を求めた。講じた措置の内容を年1回公表することも求める。
 投稿者には、人工知能(AI)を使い作成、改変した画像や動画を投稿した場合、改変したと表示する義務を課す。
 法改正の背景にあるのは、刺激の強いコンテンツを拡散させ、広告収入を得る「アテンションエコノミー」の広がりだ。
 人々の関心を集めるほど収入になる構図がデマやフェイクニュースの拡散につながっている。
 2024年の兵庫県知事選では真偽不明の情報が出回り、選挙戦に大きな影響を与えた。昨年7月の参院選や今年2月の衆院選でも、デマや中傷が問題になった。
 虚偽情報が選挙結果を左右するようになれば民主主義の根幹にも関わる。法改正で対策を具体的に盛り込んだ点では一歩前進といえよう。
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 ただ、これで公平な選挙を担保できるのか、実効性にはなお不安が残る。

 どの取り組みを採用するかはSNS事業者の判断に任されており、罰則もないからだ。
 投稿者の収益化停止は事業者の収益減にもつながるため、実際に停止措置に踏み切るかは不透明だ。
 SNSのデマを巡っては、県内でも近年、知事選などでたびたび候補者をおとしめる投稿が相次いでいる。事実確認をしないまま相手候補の支持者などによって真偽不明の情報が拡散される問題も指摘されている。
 選挙期間は短く、デマや誤情報が一度拡散されれば打ち消すのは困難だ。誤った情報で選挙結果がゆがめられる事態はあってはならず、SNSのプラットフォーム事業者に対する収益化停止の義務化が必要だ。
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 選挙期間中の有料ネット広告の制限に関しては議論が進まなかった。公選法は候補者本人の有料ネット広告は禁じているが、政党が投票を呼びかけずに「政治活動」として広告を出すことは可能だ。
 先の衆院選では高市早苗首相が出演する自民党の動画がSNSで1・6億回再生され自民党圧勝につながったとされている。政党の資金力の差で結果が左右されることがあってはならず、規制への議論が急務である。
 表現の自由とのバランスを図りながら、さらなる効果的な対策が求められる。
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