県には2020年に施行された「子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例」があるが、子どもの権利条約や国の「こども基本法」の理念を基にした条例は初めて。
背景には21年、運動部顧問の叱(しっ)責(せき)などで高校生が自死した痛ましい事案がある。
県議会や県の第三者再調査委員会は、再発防止策として子どもの権利を守るための相談窓口や救済機関の設置を求めていた。
条例は前文で「全てのこどもが権利の主体として尊重され、置かれている環境に左右されることなく夢や目標を持ち、これを理解され、幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指す」と明記した。
施策の柱は、子どもの権利侵害について調査・審議する県の付属機関「県こどもの権利擁護委員会」の設置だ。
9月に設置される。知事の要請に応じて調査する他、委員会が独自に必要と判断した場合にも調査する。権利侵害が認められれば知事に勧告を要請することもできる。
県は来年2月までに子どもの権利に関する相談窓口も設置。そこでも調査の求めがあれば委員会につなぐという。
多くの子どもや保護者がこの取り組みを知り、実際に使えるよう、まずは周知を徹底してほしい。
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子どもの権利に関する条例は01年の川崎市を皮切りに全国に広がっている。
相談は「部活で先輩からいじめを受けている」「髪形の校則に悩んでいる」「親から暴力を受けている」などさまざま。教育委員会や学校、児童相談所、保護者などに直接働きかけ解決へと導いている。
救済の実効性を担保するためには、これらの関係機関や保護者に対して十分な調査・勧告を行える権限が必要だ。
県は市町村や関係機関にも条例の趣旨をきちんと説明し、スムーズに運用できるよう努めてほしい。
県内では那覇市でも子どもの権利に関する条例制定に向けての議論が進められている。
県全体で子どもの権利を守る機運を高めたい。
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子どもの成長は早い。調査・審議は可能な限り迅速に進めることが求められるが、他県では勧告までに1年以上を要した事例もあるという。
県内でも条例制定を評価する声の一方、権利擁護委員会を県の付属機関とする制度設計を巡っては「独立性」を疑問視する意見もある。
条例の基本理念を家庭や学校、地域に浸透させる仕組みにしなければならない。
実際の運用を通して不足が見つかった時には、その都度磨き上げる努力も求められる。

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