長かった。訴訟を起こす資格があるかどうかを判断するのに7年余りも要したのである。
「入り口論」に終止符が打たれたことは評価する。だがこの間、多額の国費を投入し、自然環境への悪影響が懸念される埋め立て工事は進行した。
 名護市辺野古の新基地建設を巡り、周辺住民4人が県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だと訴えた訴訟の上告審判決があった。
 最高裁第1小法廷(宮川美津子裁判長)は、このうち3人について原告適格を認め、国側の上告を棄却した。
 今後、那覇地裁で本格的な審理が行われることになる。
 宮川裁判長は、原告適格を判断する上で考慮すべき法令として、環境保全に向けた配慮を定めた環境影響評価法なども含むとし、一審より広く捉えるべきだとした。
 国の環境基準は航空機の騒音基準「うるささ指数(W値)」は70以下が望ましいとされる。
 最高裁は、おおむね70W値の地域に居住している3人について、「健康や生活環境に著しい被害を直接的に受けるおそれがある」と述べ、二審判決を支持した。
 原告団らは「原判決(二審)と同じく、国交相裁決が違法か否かの実体審理を進める道筋を示した。極めて大きな意義がある」と声明を発表した。
 本来、保護されるべき住民の生活上の権利について、司法が真摯(しんし)に向き合ったといえる。
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 今回の最高裁の判断は、原告適格を拡大し、司法による救済の範囲を広げることを目指した2004年の行政事件訴訟法改正の趣旨に沿うものだ。

 公有水面埋立法といった限られた法規則の「文言のみによることなく」、環境基本法など関連する法令の趣旨や目的を柔軟にくみ取ることが求められている。
 最高裁判決について識者は、原判決と同様か、原判決の趣旨をより明確にする内容だと解説する。
 騒音など事実上の利益侵害が想定される以上、まっとうな判断である。
 裁判所が判例や法律に沿った司法判断を行えば、三権分立によって、基地周辺の住民の生活環境を守ることができる。
 ただ、原告適格が認められたとはいえ、国との論点整理など、さまざまな制約、困難も予測される。
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 新基地建設を巡る県と国の訴訟は14件全て終結し、判決が出た10件で県が敗訴している。県の裁判を含め、国の強引な基地建設の手法について、実質的な審理がされたことはほとんどなかった。
 住民に原告適格を認めた最高裁判決で、残る2件の新基地を巡る住民抗告訴訟にも実質審理へ可能性が高まる。
 国には実質審理に向けた対応が求められると同時に、那覇地裁には県の埋め立て承認撤回を取り消した国交相裁決の適法性についても正面からの判断を示してほしい。
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