「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が、世界自然遺産に登録されてから5年の節目を迎えた。
 ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコなど、珍しく貴重な動植物が息づく生物多様性が認められた登録だった。

 当時、社説は喜びと同時にこのように書いた。
 「登録はゴールではない。私たちは人類共通の遺産として認められた亜熱帯の森を守り、未来へつなぐ責任を負った」
 この間、それぞれの地域で次代につなぐ取り組みが進められてきた。
 竹富町の西表島では2025年3月から、「ピナイサーラの滝」など特に自然環境を保全する必要がある5カ所について、1日当たりの利用制限を始めた。
 オーバーツーリズム対策は登録前からの課題で、場所ごとに30~200人の上限人数を設定。トレッキングなどで立ち入る際は町への事前申請を課した。
 絶滅危惧種が暮らす森と生活圏が近いやんばるでは車両と動物が衝突する「ロードキル」対策に神経をとがらせる。
 今年に入ってからヤンバルクイナの交通事故は既に26件。道路の下を通るトンネルを設けたり、看板などで注意喚起を図っているが、最も効果的な対策は、速度を落とした「ヨーンナー(ゆっくり)運転」だという。
 自然保護と観光業のバランスをどう取るか。利用ルールの徹底とマナーの周知をどう図るか。さらに知恵を絞る必要がある。

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 沖縄の豊かな自然は、脆(ぜい)弱(じゃく)な島しょ生態系の上に成り立ち、外来種の影響を受けやすい。
 耳を疑ったのは、生息するはずのないニホンジカの目撃情報が、24年以降、やんばるで相次いだことだ。
 見つかった糞(ふん)から絶滅が危惧される植物を食べていたことも分かっている。生態系に影響を及ぼしかねない深刻な事態である。
 米軍北部訓練場跡地から弾薬類など大量の廃棄物が見つかり続けているのも深刻な問題だ。
 北部訓練場は16年に過半が返還され、その一部は世界自然遺産の登録区域となった。
 一方、訓練場は約半分が残り、米軍機の騒音などによる生物への影響が懸念されている。
 隣接する基地に規制をかけずに世界の宝である遺産を守ることができるのか。北部訓練場は返還を目指すべきである。 
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 今月、国頭村にリニューアルオープンした「やんばる世界遺産センター」は、自然や生き物の魅力を発信する拠点となっている。
 豊かな森を未来につないでいくには、沖縄にしかない自然を学び、じっくり味わうことが大切だ。
 米国の海洋生物学者レイチェル・カーソンは、自然に触れ、その神秘や不思議さに目を見張る感性を「センス・オブ・ワンダー」と呼んだ。

 子どもたちには、身近な世界自然遺産を通して「センス・オブ・ワンダー」を育んでほしい。
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